千光「今回私は、あなたの力を見極めに現れました。」
シルファー「見極めって・・・えっと、私が決戦間近だから?もしかしたら勝てないかもって?」
千光「決戦間近だからなのは間違いありません。あとは誤解のないように言っておくと、私にしてみればあの魔眼なんちゃらだの、ジアクトだの、大口を叩いてすぐに退散する敵など取るに足りません。」
シルファー「お、おう。さすが超位互換は違うね・・・。」
千光「いえ、あなたの今の力でも充分勝てることでしょう。」
シルファー「へっ?ならなんで力を見極めだなんて・・・。」
千光「話してばかりではあれですから、まずはあなた。持てる全力を尽くして私に攻撃してみてくださいよ。」
シルファー「・・・よくわからないけど、攻撃したらいいのね?」
千光「私は防御しませんから。」
シルファー「え、なんで?」
千光「する必要がないからです。」
(カチッ)
シルファー「さすが私に似て・・・いや、私だけあって!」
シルファー「人を煽るのがうめぇなっ!どぉぉらあっ!!!」
千光「フッ」
シルファー「あ、当たった感覚はあったぞ。マジで防御してないのか?」
千光「なるほど。」
千光「安心してくださいね。あなたの攻撃力は実に申し分ない。ただ私が無敵だというだけのことです。」
シルファー(いちいちムカつく・・・)
千光「とりあえず私に勝てないことはおわかりいただけましたか?」
シルファー「不本意ながらねっ!それにお前に勝てないのがわかって、こっちの力が申し分ないと思うんなら、あとはなにがしたいんだよ?」
千光「別に私は攻撃力を測るとは言っていませんよ。けれど今のでわかりました。やはりあなたをこのまま決戦に行かせることはできません。」
シルファー「なんでだよ?決戦に行けば勝てることはほぼ請け負いなんだろ?」
千光「はい。」
シルファー「なら、何が・・・」
千光「あなたの一撃に込められた想いが見えたからです。」
シルファー「想い?」
千光「いいですか?相手は侵略者。こちらを脅威とみなし攻撃してくる集団です。」
シルファー「うん。」
千光「そしてあなたはこれまで奴らを相手にしている内に様々な英雄の過去、苦悩、犠牲を目の当たりにしてきました。」
千光「それは知らず知らずのうちに、今度はあなたの心に侵略者への強い憎しみや怒りを植え付けているのです。」
シルファー「だってそりゃあ!いろんな想いに応え、報いるためにもさ!」
千光「憎しみや怒りで剣を振るうあなたは、これまで戦ってきた悪神となにが違うのです!?」
シルファー「それは・・・。」
千光「先ほど言ったように、今のあなたの力ならきっと勝利はおさめられるでしょう。ですが積もりに積もったマイナスの想いは、いまにあなたをあの悪神と同じような化け物に変えてしまいます。」
シルファー「・・・・・。」
千光「今回の私の目的は、あなたの力を見極めること。その条件は、私が納得する一撃を放つことです。怒りや憎しみにとらわれない、あなたの真なる一撃を。」
シルファー「真なる、一撃・・・。」
千光「もしそれができないならば、もはやそれまで。」
千光「あなた(私)の旅はここで終わり。仲良く心中といこうじゃありませんか。」