ユキ「・・・・・・なるほど。」
シルファー「さっきから本当に驚かないね。こんな世界とはいえ、結構非日常的なことが起きてると思うんだけど。」
ユキ「驚いてはいるよ。」
シルファー「本当に?」
ユキ「ん。でも最近、このままじゃ・・・って気持ちもあったからさ。」
シルファー「もしかして、少し前にユキがうなされてた夢って・・・。」
ユキ「夢の中では、モンスターがお前に魔法を放ってきてさ。本来なら後方支援を信じて俺ら2人で斬り込みにいくんだけど。」
シルファー「・・・庇っちゃったんだね。私を。」
ユキ「うん。」
シルファー「だいたい似たような内容だよ。未来での。」
ユキ「だろうな。」
ユキ「俺さあ、普段からお前のことヤンキーだとか言って面白がってケンカしてるけど。」
シルファー「それが茶番だってわかってるから、みさおちゃんも本気で止めないんだけどね。」
ユキ「その・・・男女差別する気はないんだけど。」
シルファー「うん?」
ユキ「・・・・・・。」
シルファー「いいよ、言って。」
ユキ「おう。」
ユキ「本当なら俺たち2人バトルマスターは、いつも隣同士で前線を張るパートナー、今までずっとそうしてきたんだけど。」
ユキ「その・・・なんだかんだお前とは長いからさ。一人の女性として意識しちまうと、俺が見た夢にも、その未来とやらにもあったように、不意に庇いに入っちゃいそうになるんだ。もちろんお前の底知れない強さは充分理解してるんだけどな。」
シルファー「そっか。」
ユキ「だから実際、無理矢理誤魔化してるところはあるんだよな。」
シルファー「ヤンキーだっておちょくって?」
ユキ「ごめんな。ダサい理由で。」
シルファー「そんなことないよ。でも信じてほしいな、私のこと。私たちふたりで気持ちを合わせて剣を振るう、みさおちゃんの回復支援も信じてね。」
ユキ「わかってんだけどさ。」
ユキ「一度気にし始めると、敵を倒さなきゃよりも、お前を守らなきゃが優先になっちまう時がある。」
ユキ「簡単な敵なら多少の心の揺らぎは許されるけど、昨今そしてこれからは尚更、一瞬の隙があると命に関わる敵ばかりだ。このままじゃいけねえ。」
シルファー「それを変えるために、私は未来からきたんだよ。」
ユキ「だよな。・・・・はあ。情けねえなあ。」
シルファー「だからそんなことないって!!」
シルファー「よし、じゃあ約束しよ!」
ユキ「約束?」
シルファー「うん。世界を脅かす敵がいなくなったとき。本当に本当の平和が訪れるまで、私ヤンキーでいてあげる!」
ユキ「それでもまた戦闘中に揺らぐかもしれないぞ?」
シルファー「・・・・ほら、手を出して!」
ユキ「?」
シルファー「もしまた気持ちが揺らいだら世界が滅んじゃうし、私とも会えなくなるかんね。そうならないように私を信じること!」
ユキ「無理矢理な約束だなあ。俺がしっかりやれる保証あんの?」
シルファー「らしくないなあ。うじうじしないの!」
ユキ「はい。」
シルファー「私をナメたらぶっ飛ばすかんね!」
ユキ「・・・わかったよ。そこまで言われちゃあな。」