ゼルメアにはまっています。面白いし、夢があり、「複数の問題がいっぺんにきれいになっている」企画です。もー、これ考えた人むちゃくちゃ頭がいいな!
以下、私が思わず「スゲー」と言ったポイントを述べます。3記事に分けます。
●「ランダム生成という夢」の現実的実現
MMORPGは、長期にわたってプレイしてもらわねばならないゲームだ。
飽きられないためにどうすればいいか。入るたびに構造が変わるダンジョンがあればいい……。
という発想が、バージョン1のころから、ドラクエ10には存在した。それで、魔法の迷宮が作られた。
バージョン2では、それをもっと突き詰めて、
「未だに飽きずに遊ばれている不思議のダンジョンシリーズ(シレンとか)。あれみたいなものがあるといいんじゃないか」
ということで、不思議の魔塔が企画された。
ドラクエ10のスタッフには、どうやら「ランダム生成ダンジョンへの見果てぬ夢」という遺伝子があるっぽい。
が、その夢の結果は、皆さんご存じの通り。魔法の迷宮も不思議の魔塔も、ランダム生成とは名ばかりで、「見たことあるマップのどれかがランダムに出てくる」レベルにとどまっている。
でもそれはあたりまえのことなんだ。トルネコやシレンでランダム生成マップが可能だったのはドットで打たれた2Dのマップだからです。3Dのダンジョンでそれをやるのは無理でしょう。猛烈に人的・時間的コストがかかっちまって現実的ではないのね。
魔法の迷宮、不思議の魔塔を作った経験から、制作スタッフはそれを認識した。じゃあランダムの夢を諦めるかといえば、それは否だった。
ドラクエ10のリソースを使って実現可能なランダム生成ダンジョンとはどういうものか、という議論が行われたっぽい。
その議論の結果、「こういうのならできる」という結論になった。
・正方形の部屋が3×3で並んでいるような構造になっている。
・部屋のつながり方と、鍵の位置が、プレイするたびに違う。
彼らは、
「『シレンのようなダンジョンを作る』というのは、手段であって、目的ではない」
ということに、ある時点で気づいたはずだ。
「本質は『ランダム性によって翻弄される体験をどう作るか』だ」
というふうに、問題を捉え直した。
3×3の固定ダンジョンで、鍵と扉の位置だけ違う。それだけで、毎回プレイヤーを翻弄させることはできる。
この気づきが凄いのです。
そして、プレイヤーが直面する問題を、
「どの扉を開けるか」
その一点に集約した。
そこがまたいい。
何人のPTで突入しようとも、入った瞬間、全員が、
「次、どれ開ける?」
これしか考えなくなる。
ちょっと頭の変わった人が、なんか変わったことを始めたりは絶対しない。魔法の迷宮では、「俺、あっちの敵を先に倒したい」みたいなことになって、PTが分散することがあったが、そういうことも絶対ない。
そういうことを絶対起こさないために、「扉の開放権はリーダーだけが持つ」という仕様なのでしょうね。「各人が好き勝手な扉を開けたりできない」ようにしてあるのです。
リーダーがPT全員分の聖紋を負担する仕様になっているのも、誰がリーダーかをあらかじめ明確にするため(誰がリーダーかという議論をそもそも発生させなくするため)でしょう。
●「死に錬金効果」の再生
ユーザーに好まれる錬金効果が固定してしまっている問題、というのが、ありました。バザーで動きがある武器防具って、定番の錬金がついているものばかりでしょう。
おそらく、「この錬金効果、1ヶ月のあいだ、全ユーザー内で一度も錬金チャレンジされなかった」みたいなものもあったはずです(おしゃれ錬金とかね……)。
それって残念だよねという問題意識は、斎藤力ディレクターの時代からあって、そのための対処が、「錬金効果がランダムでつく不思議の魔塔装備」だったわけでしょう。普段みなさんが使ってないあの錬金も、案外良かったりするんですよという体験の場になっていた。
なってはいたが、だからって今まで注目されてなかった錬金効果に光があたったかというと、そうではなかった。問題はまだ残っていて、解決を待っていた。
そこで、白箱と防衛軍とゼルメアになったわけでしょう。「思い切って、ランダム錬金の装備を、本当に排出してしまえばいい」。排出されたら、どうしても使うしかないですからね。今まで好んで付けられることがなかった錬金効果が、「本当にリアルに使われる」状況が到来したのです。この問題はゼルメアにより決着したと思います。
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