前回からの続き。
http://hiroba.dqx.jp/sc/diary/231529396884/view/5217754/
ラダ・ガートはドラクエ10のシナリオ上、なぜか一切姿を見せない。ミステリーではこういうときは、容姿の情報がトリックにつながっている場合が多い。たとえば「男だと思わせておいて実は女だ」というのはよくある話。
そのパターンかな、と思っていたが、別の情報が目に入って、魅力ある別のパターンが思い浮かんだ。その「別の情報」とは……。というところまでが前回の話。
さて。
ガートランド城は、鳥の形をしている。
城の外観は別に鳥っぽくないのですが、城の中に入ってマップを広げると、ほぼ明確といえるくらい、翼を広げた鳥の形状になっています。
何か意味がなければ、こんな鳥の形にはならない。
つまるところ、「ラダ・ガートは鳥にゆかりのある人でなければならない」と考えました。
ドラクエで「鳥」といったら、まず思い浮かべなければいけないのが不死鳥ラーミアです。ラーミアは「次元を超えて飛ぶ鳥」だという設定がありますし、異次元空間である魔法の迷宮にいくと、マップ切り替えのたびにそれっぽい鳥がぱんぱん飛びますし、それに何より、破邪舟師というのはラーミアの力を一時的に借りる能力を持った魔法使いだと私は考えるので(Ver.1のエンディングムービーは、「そう受け取ってくれ」といわんばかりの映像でした)、ドラクエ10の世界に、ラーミアの痕跡が残っているのは、私はおかしいとは考えないのです。
つまり、ラダ・ガートは不死鳥ラーミアと何らかのつながりがある。もっとはっきり言えば、「ラダ・ガートはラーミアに乗って別の世界からやってきた異世界人ではないか」というふうに私は想像したのです。
アストルティアには、ドラクエ9の主人公がやってきて「初代時の王者」として活躍した形跡があります。つまりは、異世界からヒーローを招聘してトラブルシューターをさせる、ということが行われていてもOKな世界です。
そして、異世界には、オーガはいません(そのはずです)。なぜなら、オーガはガズバラン神が創造した人類であり、ガズバラン神はアストルティアで生まれた、アストルティアにしかいない神だからです。
もし、ラダ・ガートがラーミアに乗って異世界からやってきたのなら、ラダ・ガートはオーガではありません。オーガでないのなら何か。素直に考えればそれは「人間」ということになります。
ラダ・ガートはガミルゴの親友で、ガミルゴはオーガです。ガミルゴとラダ・ガートは、オーガの国のバグレア教会孤児院で同期だったとされます。
現ガートランド王のグロスナーは老オーガですし、ゼラリム姫もオーガです。とくべつな描写がないかぎり、ユーザーは、「グロスナー王やゼラリム姫はラダ・ガートの子孫なんだろうな」と自然に考えます。
つまりは、ふつうに考えたら、たいていの人はラダ・ガートをオーガだと考えます。
が、それはひっかけであって、ふたをあけてみたらなんと彼は人間だったのだ……というのは、ミステリー的な驚きにつながっていて、しかもその驚きは神話的な物語につながっており、10だけにとどまらないドラクエシリーズを横断するようなギミックになっており、この形は魅力的なんじゃないか、と私は思いました。
藤澤さんや、現ドラクエ10スタッフがどう考えたかは、知らないし、想像するしかないけれど、もし私がシナリオライターで、「姿を見せない闘神ラダ・ガートの正体を決めてくれ」と言われたら、この形を提案すると思います。
(了)