バージョン6.4の武器について、自分の思う理想の性能でないことにめちゃめちゃ腹を立てているブログに行き当たってしまい、あー、これは気の毒だなぁと思いました。
弱いとか、ニーズにマッチしないとか、そういうことにすごく苛立ったコメントを書いていて、ほとんど暴言みたいになってた。
気の毒だなあというのは、つまり、自分視点でしかものを見られていないところです。こうなっているのは必然性があるのではと仮定して、では、その理由はなんだろうという考え方ができれば、世界はもっと広がるのになあというのが率直な感想でした。
●装備にはなぜ当たりはずれがあるのか
とくに武器がそうなんだけど、当たり武器のときとはずれ武器のときがあるでしょう。
私の考えでは、
(例えば)「今回のバージョンアップでは、両手剣とヤリは当たり武器、扇と片手剣ははずれ武器にしよう」
みたいなことが意図的になされていると思います。
なぜそんなことをするのか。
例えば、毎回全部の武器種に良い効果をつけて、毎回全部を当たりにするとしよう。
そしたら何が起こるだろう。
もしそうなったら、バージョンアップごとに、大多数のプレイヤーが最新の武器に更新する。
それってどういうことかというと、バージョンアップのたびに、プレイヤー層全体の戦闘力がグッと底上げされるということだ。
「毎回全部を当たり武器にする」ということは、「前回の当たり武器と比べても当たり」という武器を設定しないといけないから、プレイヤーの戦闘力は倍々ゲームのように加速度的に上昇する。
それはマクロ視点でのプレイヤーの戦闘力がジャンプ漫画のようにインフレしていくということだ。
それの何がいけないのかというと、ジャンプ漫画のようにインフレしたプレイヤーにとっても歯ごたえのある敵を用意しないといけないので、敵の強さも同様にインフレしていく。
レベルMAXのプレイヤーが最新の強力な武器を装備して、それでも苦戦するようなボスが実装され続けるようなゲームになっていく。
新規プレイヤーにとっては、最新のボスへの挑戦機会がみるみる遠くなっていく。それが遠くなればなるほど、初心者プレイヤーは意欲を失い、定着しなくなっていく。
ゲーム序盤にいるプレイヤーと、エンドコンテンツクラスにいるプレイヤーとの距離が無限に引き延ばされていっていつかぷちんとちぎれたときにゲームが破綻するという原則は、多くの人が意識すべきだと思うのです。
●プレイヤー強化とゲームの寿命は取引関係
この手のゲームにおいては、実のところ、プレイヤーの強化はゲームの寿命を削ることで実現されている。
終わりのないネットゲーム開発者は、ゲームの寿命を延ばすために、なるべくプレイヤーの強化をしないようにできないか、という課題を握っているはずです。
しかし、プレイヤーのプレイ意欲は、成長したという感覚に支えられている。このゲームやってもやっても強くならねぇなと感じられたらプレイヤーはプレイをやめる。
なのでMMORPGの開発運営は、「強くしないとプレイヤーが離れていくが、強くするとゲームの破綻が早まる」というジレンマと常に闘っていることになる。
(長くなったので続きます。3回予定。次から武器の話になります)
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