むかしむかし…まだドラテンがバージョン2の時代…。
グレン住宅街にエルフ女の裁縫職人が住んでいたそうな…。
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「よしっ、今日もうまく縫えた!」
私はたくさんの水のはごろも下★★★を綺麗にたたみ、一息ついた。
周りは 『夏だ!ピラミッドだ!退魔の装束だ!アポロンのオノだ!』
などと浮かれているけど、私はあまり興味がなかった。
稼ぎは少ないけれど、縫ってる時はわりと楽しいし、何より私が縫ったたくさんの水のはごろもを着てくれるヒトがいる。何よりそれが嬉しかった。
職人としての評判も悪くないし、私はなに一つ不自由しない職人生活を送っていた。
私は早速、出来上がった水のはごろも下を売りに出しに、ついでに職人依頼もこなすためにさいほうギルドへと走った。
私はさいほうギルドがあまり好きではなかった。
無論、職人依頼は庶民の私にとっては貴重な収入源だ。毎日欠かさずに通い詰めている。
そんな私の目に飛び込んでくるのは…
『退魔の装束上
★★★ができた! 』
の白チャだった。
どうしてもこの白チャが目についてしまうので、できることなら通いたくないのが本音だった。
はあ…。また退魔かぁ…。
私は深いため息をついた。
またしてもあの苦い思い出が蘇ってくる。
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せいこう!せいこう!しっぱい!せいこう!せいこう!
できないできない…!退魔上の★★★ができない!
なんで…!なんでよ!なんでこんなに…!
でないでない…会心が出ない!
ああああああああああああああああああ
何連続で出てないの!
赤字が赤字がぁ… 次こそは取り戻さないと…
113 45 105
87 62 85
105 45 116
あとは弱い加減ぬいを87と85に決めるだけ… これは★★★も同然…
5! 3! ★★ができた!
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
なんなのよおおおおもおおおおおおおおおおお!!!!
(※ 確率約4%)
思い切ってチャレンジした初めての退魔の装束上の結果は悲惨の一言だった。
10着縫って大成功が一度も出来ず、苦労して貯めた数百万Gが一瞬にして奪い去られてしまった。
もう退魔なんて二度と縫うものか。
そして、絶対に袖を通すものか。
と心に決めたのだった。
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…こうして退魔の文字を目にする度にやりきれない想いがふつふつと浮かび上がり、私の思考を鈍らせてくる。
ああもう! もう忘れよ。
さっさと仕事道具買って帰ろ。
私はさまざまなさいほう針をぼんやり眺めていた。
やっぱり奇跡のさいほう針にしようかなぁ…。
でも高いんだよなぁ。ダメになっちゃった時のこと考えると、超さいほう針で十分かなあ
なんて考えていた私の視界の隅に、とある文言が飛び込んできた。
『これを使えばお金がみるみる貯まる!金運アップ!黄金のさいほう針!』
ー 続く ー