むかしむかし…まだドラテンがバージョン2の時代…。
これはグレン住宅街に住んでいたエルフ女の裁縫職人の物語…。
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「もぉおおお!なんなのよこの針!」
急激にこみあげた怒りを、傷物になってしまった退魔の装束★に叩きつけた。
私はなんて愚かしいことをしていたんだろう。
くだらないものにすがった結果、200万G以上の大金を一気に失ってしまった。
もーーーーーーーー!
この針ぃいいいい! もおおおおおおおおお!
誰よこんなの売りに出したのぉおおおお!!!!!!
私は何度も地団駄を踏んだ。
それだけではない。
こんな詐欺の典型みたいなのに簡単に騙された自分が情けない。
そのことを自覚したら、ますますイライラは募るばかりだった。
キーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
イライラして別のことが全然考えられない。
自然と私は外へ飛び出していた。
そのまま調理ギルドへと走り、高価な料理を買い漁った。
バトルステーキ★★★…アイスタルト★★★…
美味しいものを食べているときは、イライラも忘れられた。
物足りなさを感じた私は、高価な装備を買い漁った。
性能の良い装備一式を身につけ、サポート仲間の酒場コメントをガチガチに書き込み、たくさんの人に雇われているさまを眺めていたらイライラも忘れられた。
それでもまだ満ち足りない私は、高価な家具を買い漁った。
セラフィぬいぐるみをいくつも設置して
『セラフィあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』
と魔法の呪文を唱えていたら、イライラも忘れられた。
みるみる貯金が減っていくのもまったく気にならなかった。
左人差し指は醜く腫れ上がり、紫と緑が混ざり合ったような毒々しい色になっている。
その模様はまるで、ドクロがこちらをあざ笑っているかのように見えた。
ちくしょう!憎たらしい!
思わずバシンとモノに当たった。
腫れ上がった指がズキズキと痛む。
私は再び調理ギルドに寄り、高価なスイーツをおまけで買った。
スイーツを食べて一息入れた私は、物思いにふけっていた。
このままではまずいという考えは頭の片隅にしっかりと残っていた。
この調子ではひと月とたたないうちに貯金が底をつき、生きていけなくなってしまう。
おカネ…おカネが欲しい…!欲しくて欲しくてたまらなかった。ほんとにもう、こんな渇望はかつて経験のないことだった。
おカネ…おカネ…お金…
カネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネ
私は自然とおカネを稼ぐ方法を探し求めていた…。
黄金のさいほう針で退魔を縫って稼ぐという選択が一瞬浮かんだけど、すぐに捨てた。
そんなものじゃおカネは得られない。もっと堅実に…合理的なアイディア…。
たくさんのおカネを得るには他人を出し抜く必要がある…。
私は考え抜いた。
そして決心し、行動を開始した。
私はおもむろにパソコンの電源を入れた…。
ー 続く ー