むかしむかし…まだドラテンがバージョン3の時代…。
これはグレン住宅街に住んでいたエルフ女の裁縫職人の物語…。
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時は2016/10/06
ver3.4アップデート…!
この日のために、素材を安いうちからコツコツと仕入れておき、サブキャラ全てのタンスの中に詰め込み、裁縫計算機ver.3.3のデータを更新するなど、準備に準備を重ねた。
そう…このころはダークキングの最盛期…!
歓喜と絶望が入り乱れ、おカネと怒号が飛び交う…!
まさに世は混沌の時代…!
そしてバトルマスターの装備が大注目されていた時期でもあった。
そんな中行われた防具の追加。私自身もガッチリマークしていた。
ログインしてすぐにトーテム装備のレシピを買いに走り、トーテムクラウンをいくつか作成し、バザーに全て出品してみて私は驚愕した。
今まで縫っていた風虎装備とは比較にならないほどの利益が上がった。
おカネ…おカネ…おカネ!
うふ…うふふ…これよ…! 私は今この瞬間のために裁縫職人をやってきたのよ…!
思えばアップデート直後に職人活動をするのは初めての経験だった。
誰も作ったことのない装備を作る…
誰もまだなしえていないことをする…
先駆者となる…
そして莫大な利益をあげる…
この貴重の体験は、言葉にできないくらいの快感や興奮を私にもたらしてくれた。
その時から、私の中で何かが変わったのをハッキリと感じた。
おカネ…おカネ…お金…
カネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネカネ
この3連休、私はずっと裁縫作業に明け暮れた。
それまで数ヶ月かけて稼いだ額をこの三日間で手にした。
うふふ…うふふふふ…儲かる儲かる…
オーーーーッホッホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ
ワタシ ハ マスマス サイホウ ニ ノメリコンダ
トーテムクラウン ダイセーコーリツ 92%…
トーテムブレス ダイセーコーリツ 83%…
ジュウニロクロク ジャクマキコミ キモチイイ…
「やっほ^^ダークキング4行きません?」
ウルサイ…イマ サイホウ シテンダ ハナシカケルナ
モウカル モウカル…ウフ…ウフフフフフ
カンド ジョージョー ケッカ リョーコー
ケケ… ケケケ… キキキ… ウフフフフフフふふふふフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ
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彼女の作業場であるグレン住宅街の豪邸からは、毎晩のように奇声が聞こえてきたそうな…
彼女は作業場にこもりがちになり、周辺住民もその姿を見ることはほとんどなかったそうな…
そしてある日突然、この豪邸は一夜にして消滅していたそうな…。
その後、彼女の行方を知るものは誰もいなかったそうな…。
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心機一転、グレン城下町までやってきたこのオレにも、ようやくツキが回ってきたようだぜ。
オレは買ったばかりの土地を前に、喜びを噛み締めていた。
あとはツレの大工に頼み込んでとびきりいいのを建ててもらうとして…。
それと役所も行かないとなぁ、手続き面倒だな、あと何があったかな…。
うつむいて考えていると、地面で何かが光った。
あ? なんだこれ?
拾い上げたのは、黄金の輝きを放つさいほう針だった。
へぇ、こりゃ縁起がいい。久々にさいほう依頼でもやって晩飯代の足しにすっか!
オレは黄金のさいほう針をフトコロにしまい、意気揚々とさいほうギルドへと走った。
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世にも恐ろしい呪いのさいほう針。
“血の契約”を交わしてしまったこのかたは、その魔力にとらわれてしまった…と言います。
ヒトはみな欲望という情熱の炎を持っています。
かつて人類はこの炎を活用し、財産を築き、地位を得、幸せな生活を手に入れ、果ては高度な文明を築き上げるまでに至りました。
しかしながら時としてこの炎は、己を焼き尽くす地獄の業火にもなりえます。
皆様も火の取り扱いには、くれぐれもご用心を。
(前奏)
世にも奇妙な黄金のさいほう針。
次にこの針を手にするのは…
あなたかもしれません。
タララララッ↑タララララ〜↓
タララララッタッ↑タララララ〜↓
でーん! でーん! でーん!
ー 完 ー