ネルゲル様に息子がいたら…から妄想したものです。
苦手な方は見ないで下さいね!
その日、ネルゲルは魔界へと招待を受けた。マデサゴーラは満面の笑みでネルゲルを歓迎した。
「おお!よくぞ来た!ネルゲルよ!」
息子夫婦を無くしてからネルゲルを我が子のように育て
魔界と冥界とで同盟を組みネルゲルを支援した。
そしてネルゲルが独り立ちし冥界に戻り玉座に付いた時は誇らしくもあり寂しくも感じていた。だが、今ネルゲルは変わらぬ態度でマデサゴーラの前にいる。
「相変わらずよの?元気そうで何よりだが何の用なのだ?竜王もいるのか」
ネルゲルはマデサゴーラの横にいる竜王を見て、これはただ事ではない話だと気を引き締める。
「久しいのぅ冥王よ…」
竜王の言葉にネルゲルは軽く会釈する。
そしてマデサゴーラはネルゲルを見てから満面の笑みでネルゲルに告げた。
「ネルゲルよ、子を作らんか?」
ネルゲルは我が耳を疑った。
「は?何と言ったのだ?」
マデサゴーラはもう一度言った。
「子を作ら…」
言葉が途切れる前に飛んで来る鎌をマデサゴーラは華麗に避けながら受け流す。笑いを堪えている竜王が目に入る。
「貴様等!わざわざ我を愚弄する為に呼びつけたのか!?我が女に見えると申すか?」
「まあまあ、話を聞くがよい!」
マデサゴーラは笑いながらネルゲルの頭を撫でた。
懐かしい感覚、よくマデサゴーラはネルゲルの頭を撫でていた。ネルゲルは不快な顔をしながらも大人しく頭を撫でられている。幼き頃に戻った気分に暫し浸る。そんなネルゲルを撫でながらマデサゴーラは話し出した。
「竜王から聞いたのだ。勇者が現れる時期が迫っておる」
ピリッと空気がはりつめた。竜王はそれを告げにマデサゴーラに会いに来たのだろう。
「ほう、それで?」
突然の真剣な話にネルゲルは目を細める。
マデサゴーラは神妙な面持ちで言葉を続けた。
「負けるつもりはないが何せ伝説の勇者だ、余が偉大な大魔王としても万が一がないとも限らぬ、ゆえに余は死んだ息子を甦らせ跡継ぎを作りたいのだ!」
「跡継ぎ?貴様には孫がいるだろう?」
「あやつはまだ幼い子供よ…跡継ぎとしてまだまだ戦えぬ…余より先に死んだバカ息子を鍛え直し、孫を守らせるつもりだ…まあ、余が死なねばよい話だがな」
マデサゴーラの話を聞いてネルゲルは首を傾げた。
「で、なぜ我が子の話になるのだ?」
「余が息子を甦らすのを手伝ってくれ、お前(冥王)ならば息子の魂を呼び出せるだろう?礼にお前の魂の一部をつかいネルゲル、お前の子を生み出してやろう」
「いらぬ」
即答。呆れながらネルゲルは立ち去ろうとした、だがマデサゴーラの腕がネルゲルの腕を掴む。
「ネルゲルよ、血を…魂を受け継いだ家族が欲しくはないか?」
「貴様が作った子は我が子ではないだろう?」
マデサゴーラは竜王に聞こえぬよう力を使いネルゲルに小声で耳打ちした。
「実はな…これはまだ秘密だぞ?あやつに言えば奪われるかもしれん…余は偶然、創世の力を手に入れたのだ。つまり、お前の遺伝子で創世の力を媒体として身籠らせれば遺伝子を引き継いだ本当の子を作れると言う事だ」
「ほう?」
興味
我が子への好奇心、ネルゲルは頷いた。
「何をこそこそ話しておる?」
竜王は不快そうに二人を見た。
「いや、我が魂の欠片で我がストックを作るのも悪くはないと思ってな」
ここで力を取り上げられれば、息子は作れぬ。
ネルゲルは創生の力を秘密にした。
「ストック?なるほど」
まさか、何気ないこの言葉が自分の首を絞めるとは…この時のネルゲルは思ってもみなかった。
まとめ2へつづく
これはネルゲル様のアンソロジー本にて
紹介したものを少し手直ししたものです。
見てくれた方、ありがとうです☆