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燦滅の断罪者

ロトシオン

[ロトシオン]

キャラID
: DE243-658
種 族
: エルフ
性 別
: 男
職 業
: レンジャー
レベル
: 136

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ロトシオンの冒険日誌

2025-11-21 23:48:36.0 テーマ:写真活動

海の底から

──大魔王ロトシオン、静かに揺らぐ。

ゴブル砂漠西の海に落ちた日のことを、
今日もつい思い返してしまう。

あの日から、胸の奥に小さな波がある。
痛みでも不安でもない。
ただ、ひっそりと寄せては返す“揺れ”のようなものだ。

漁師の父を持つ者なら「潮の満ち引き」と言うのかもしれん。
だが、わしはそんな生まれでもない。
エルフとして長く生きてきたが、
こういう感覚は初めてじゃ。

桟橋に立つと、なぜか空気が変わる。
風が肩をなで、髪の先がわずかに揺れる。
まるで「今日も来たな」と誰かに囁かれているようだ。

──気のせい、じゃろう。

そう思いたい。
だが、ポーチに入れている青い貝殻が、
ときおり小さく温かい。

拾ったばかりの時は冷たかったのに、
今は手の中で、わずかに脈打つような感触さえある。
「ロトさん、今日も釣るの?」
「また光、出るかもだよ?」

そう声をかけてくれるチムメンたちの笑顔がありがたい。
わしはいつも通り胸を張る。

「釣り大会じゃからな。今日こそ、とと丸の化身を釣り上げるわい!」

笑いながら言ったが、
自分でも驚くほど自然に海へ視線が吸い寄せられる。
波のきらめき、風の音、潮のにおい──
全部が、昔から知っていたもののように懐かしい。

けれど、わしはまだエルフだ。
姿も声も、いつも通り。
ただ少しだけ、瞳に映る色が深くなった気がするだけ。

「……ん?」

ふと足元を見ると、砂浜に細い線が残っていた。
貝殻で描いたような、揺れた文字の跡。

波がさらえば消えてしまうような儚い跡だが、
わしにはこう読めた。

──“また来い”

まさか、と思った瞬間には、
線は波に溶けて跡形もなく消えていた。

「気のせいじゃ。疲れておるだけじゃ。」

そう呟きながらも、
胸の奥の波が、ひとつ深く寄せてくる。

海は静かじゃ。
けれど、どこかでわしを見ているような気がする。

視界の端で、青い光が揺れた気がした。
風が吹き抜け、髪がふわりと浮く。

その瞬間、手の中の貝殻が──
ひときわ強く、あたたかく脈を打った。

わしは深く息を吸い、空を見上げた。

潮のにおいがする。
今日の海は、いつもより少しだけ近い。

明日も、わしは海へ向かうじゃろう。
理由はない。だが、行きたい。
ただ、それだけじゃ。

──この揺れがどこへ運んでいくのか。
わしにもまだ、分からん。

だが、確かに何かが始まっておる。

大魔王ロトシオン。
今日もまた、海に呼ばれておる。
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