天使の位階における最高位。神への情熱が燃ゆる体躯を表現する名である。
私はネット世界で5年ほど「してんし」という名前を使っています。
始めは仮名として使っていましたが、ついにハンドルネームが思いつかないままこの仮名に愛着が湧いてしまいました。
意外と皆さんもそんな感じでしょうか。よくあるパターンでは「ななし」という名前にしておいて案を探している内にそのまま「ななし」になる人とかですね。
この名前に決まった当初は天使成分を大事にしようとはしていました。アイコンを天使にしてみたり、天使の勉強をしてみたり...。
ですが、時間が過ぎるほどに"熾天使"という本来の意味はどんどん私の中で薄れていき、文字列として私の名前を表すものだけになっていきました。
これに気付いた瞬間、泡沫程度ですが寂しさを感じたんです。ここでは言えませんが、「してんし」という仮名にしたのも意味があってのことでしたから。
それは道程となった思い出、楽しい記憶も思い出したくない出来事も全てが溶けて無くなってしまうことと同義のような気がして。
なので、私は羽を取り戻そうと、そう思いました。もうきっと錆び付いているでしょう、あの日と同じように空は飛び回れないでしょう。
だけど...今日だけでも...。
私は......私は!!!
彼女は荒く目を瞑り、歯が軋むような苦悶の顔で心に願い叫ぶ。
"たった一度...いや、一瞬だけでいい。初々しく私が私を名乗ったあの日を呼び戻したい。一生のお願いだよ...神様......!!"
きっと神を敬愛する熾天使らしいとは到底言えないような、か細い祈りだっただろう。けれど、それは確かに強かな...本心だった。
───そして奇跡は起きる。
続かない