――12月某日
てろりん♪
連絡の取れなかった雪乃んから、急にメールが届いた。
メールには短文で「気づいたら病院のベッドだった」と。
……え?なに…どういうこと……?
私は連日の仕事の眠気がふっとび、詳細を聞く為にやりとりをするのであった。
3510「病院!?いきさつがわからないけど、何かあったの?」
雪乃ん「8月の半ばかな…倒れたみたい」
3510「え、それって前に言ってた病気関係?」
雪乃ん「うん…夏コミ終わって1週間…?ほんと直後に倒れたみたい。
2か月…?気づいたら11月も終わってた…まさに見知らぬ天井。
何か今、左目が見えない。邪気眼だ。」
3510「ふぇぇぇぇ……」
身近な存在なのに、全く気付かなかった私。
本人もショックだろうけど、私自身もかなりショックが大きかった。
当然、刊行予定だった雑誌の連載は流れ、冬コミの新刊も断念。
雪乃んには2か月身体を動かしてなかった為、リハビリ生活が始まった。
雪乃ん「何としてでも、冬コミには行けるようにする!」
そう胸に誓って努力してきたに違いない。
私も年末は仕事が多忙だったけど、何とか仕事納めを無事に終えた。
そして迎えた冬コミ当日は、病み上がりなりにも元気な笑顔を見せてくれた。
今回は挨拶回りだけで精一杯だったけど、また次の夏コミは体調を万全にした雪乃んと迎えたいと思う。
お客様「新刊待ってます!」
この声が一番心に響いたね…ほんとゴメンナサイ。。
挨拶回りと買い物は済ませたので、既刊とペーパーの配布を閉場まで行う。
雪乃んとゆっくりと話す機会が無かったので、雑談をしながら売り子をしていた。
3510「まぁ…今回は仕方ないね。大変だったしね。」
雪乃ん「ヤヴァイ体験したよ。」
3510「ヤヴァイ体験って?」
雪乃ん「俗に言う臨死体験みたいなヤツかなー…。」
3510「うは…まじで…一体どんな?」
雪乃ん「何かね、ちょうど今やってるスターウォーズの暗黒面の光
みたいなのに吸い込まれそうだった。
もう多分、あそこに行ったら帰って来れない気がして…」
雪乃ん「でも多分、眠っている間に3510のメールとかに気づいたんだと思う。
何かを忘れている気がして…起きなきゃって思って目が覚めたんだよね。」
3510「……もしかして、あのメール?ごちうさ本のテーマはチマメ隊でいい?ってヤツ…」
雪乃ん「ああ、多分それだ!ごちうさ2期見てなかったからだよ!
心ぴょんぴょんしてないから、こっちに戻れたんだよきっと!!」
3510「……ごちうさ偉大だね。」
妙に納得していた雪乃ん。
私は苦虫をかみつぶしたような顔で、売り子を続けた…。
糸冬