はろーはろー♪
やぁみんな、カードダスって知ってるかい?
オレがまだまだ小さな子どもの頃、ドラゴンボールのカードダスが
スゲー流行っていて、みんな必死に集めていたんだよね。
1枚20円で、自動販売機にお金を入れるとカード出てくる。
キラキラ光る絵柄のカードダス(通称キラ)は凄く価値があって、
みんなそのレアドロップ目当てに小遣いを全部つぎ込む。
1枚は20円なんだけど、100円いれると5枚束になって出てきて、
それならキラが出やすいっていう噂も広まっていた。
みんなドラゴンボールのキラのカードが欲しくて欲しくてたまらなかった。
いいキラを持っている事が子供達の一番のステータスだったから。
理論値アクセの合成に必死にGをつぎ込むことに似てるのかな。
ある日・・オレの缶カンの宝箱の中に、輪ゴムで止めて貯め込んでいた
カードダスがごっそり無くなっていた。友達が遊びにきた後だったから、
まさかとは思ったが、まぁきっとまたすぐに出てくるだろうと
自分で自分に言い聞かせることにした。
夏休みで、オレは次の朝いつものようにラジオ体操に行ったんだ。
そこでオレは衝撃的な光景を見てしまって、、、
今でもそれが忘れられない。
仲良かった友達がカードダスを周りのみんなに見せて自慢している。
お気に入りのキラを一番上にして輪ゴムで止めるあの束ね方は、
明らかにオレが大事に大事に保管していたやつだ。
その友達はオレのカードダスを盗ったんだ。
オレがそれを見ている事を友達は知っていたが、まるで自分の物かのように
悪気が無い感じだった。オレは衝撃が強すぎて、何も言えなかった・・。
子どもの頃の記憶というのは淡く切ないもので、楽しい事はけっこう
忘れてしまうんだけど、辛かった事や悲しかった事は今でも覚えている。
いや、ふとした瞬間に思い出してしまうんだ。
アストルティアでは当時チームが大ブームで、みんなが揃いもそろって
チームを結成していた。今でもグレン1の酒場前に行けば解るんだけど、
チームの勧誘がスゲー多い。その時は、どこの街でもチームの勧誘が多く、
チーム勧誘に関してはどこでもグレン1状態だった。
チームと言っても、今みたいにチームクエストというものはなく、
チーム名を決めたり、チーム専用のチャットルームが持てるというだけだ。
でも、さびしがり屋のオレ達ドラクエプレイヤーはだいたい
どこかのチームに一つ入るという感じだった。
フレンドがいなくて寂しくても、チームメイトから一気に仲良くなる事が
できたからね。
オレはというと、昔からけっこうシャイで一人で行動する事が
多かったから、チームっていうものにあまり関心が持てなかった。
その頃オレは、毎日のように一緒に遊んでいたプク男がいて、
そいつはオレのクエストも手伝ってくれるし、当時まだ高価だった
サポート仲間もいつもGを払って借りてくれる。最新の情報も詳しくて、
どこの狩場でレベル上げが効率がいい等のじょうつよな面もあった。
けっこう気さくな奴で、オレも一緒に冒険するのが楽しかった。
オレの話は楽しいと言ってくれるし、プク男と話しているのも
心地よかった。いわゆる相棒ってやつか?
ある日プク男に言われた事が、「ルイスと遊んでると超楽しいから、
ルイスもチームを結成してそのチームに僕も入れてよ!」
プク男はすでに別のチームに入っているのにわざわざそんな事を
言ってきた。
オレはチームにあまり興味が無くて、昔から一匹狼タイプだったから
適当に断っていたんだ。
それでもそのプク男は会うたびにチーム結成を促してきた。
「今のチームは辞めるから、ルイスと二人で新しいチーム作りたい!」
チーム自体に興味は持てなかったが、自分で一から新しいチームを
作るなら別にいいか。それに仲良いプク男までいてくれるんなら、
別にわざわざ人数を増やす必要も無いし二人だけの新しい軍団を
作ってしまおう。オレは考えに考えた結果、
メギストリス大使館に行きチームの手続きを済ました。
さぁ、プク男にこの事を伝えるか。
んん、緊張してきた。まずはタバコ吸ってからかな。
オレは、新しく自分でチームを結成した事に胸の奥がドキドキしていた。