いざ、ほんとうにチームを作ってそれを報告するのは何だか照れくさいや。
プク男が喜んでくれる事は想像できたし、さらにアストルティア生活が
楽しくなるだろうと感じていた。
オレは、オレとプク男の未来に恋をしていたんだ。
照れ隠しなのか、オレはじっとしていられなく、サポを引き連れて
キャララナ海岸に足を伸ばしタコメットを狩り始めた。
タコを狩りつつ、大きく深呼吸をしてからオレはプク男にこう伝えた。
「ねぇねぇ、チーム作ったよ!」
・・・
・・・
・・・
プク男からの返事が返ってこない。
返ってこないというか、変な間があった。それが何秒だったのかは
解らない。数秒にも思えるし、数十秒にも思える。
長く長く感じる時間だったのは確かだ。
どれぐらい待っただろうか、プク男から返事が返ってきた。
「ふーん、そうなんだ」
え・・?ふーんって、、、なんでそんなに興味無さそうなの?え?えっ?
プク男は全く興味が無さそうな口調で素っ気無くそう答えた。
「それで?今なんにん?」
え・・?何人って、昨日プク男からチーム作ろうって話を聞いてたのに、
オレ以外いるはずないじゃん。プク男で二人目の予定だよ・・
「まだオレだけで、1人なんだ。」
オレはショックのあまり、そのまま普通に答えてしまった。
「あ、そう。まだ一人なんだw じゃ、またね~」
え・・・そ・それだけ?なんか酷すぎない・・?
オレはプク男に裏切られたような気がした。
その瞬間に、子どもの頃に仲の良かった友達にカードダスを盗られた時の
記憶が一瞬にして甦ってきて余計に悲しくなった。
オレはしばらく呆然と突っ立ってしまい、その場から動けなかった。
タコメットはひたすらオレをポコポコと殴り続け、
タコ殴り状態になっている。
どういう事なんだ・・?
もしかしたら、チームを作って入れてくれなんて、元々冗談話だったのを
オレが真に受けただけだったのかもしれない。
素直に聞き過ぎて、信じていたオレがバカだったのか。
オレが初めてアストルティアで遭遇した闇だった。
この世界は悪意と発狂でできているんだ。オレはそんな事をふと
感じてしまった。
深い闇に吸い込まれそうになって、今にも目から涙がこぼれそうだった
オレは、窓から夜空を見上げると眩しいぐらいに月明かりが白かった。
薄暗い部屋に射しこむ月明かりはとてもとても神秘的でキレイに見えた。
昔は月の光がキレイだなんて思った事は一度も無かったんだけど、
駄目になってしまったオレだからその時はそう見えたのかな。
もうチームなんてどうでもいいや。
自暴自棄になってしまったオレは、この先もずっと一人で
自分だけのチームを続けていくことにしたんだ。
夏を精いっぱい生きる蝉の鳴き声はいつの間にか鳴りやみ、
肌寒く冬の足音が聞こえ始めてきた2012年秋の事。