ヴェリナード北は相変わらずの人だかりで、目の前をいろんな種族が上下左右に
オレ達二人の前を横切っていく。
みんな闇雲に走り回って、運よくエンカウント出来ればいいという感じが漂っていた。
チラホラと戦闘している人もいるが、本当に心から羨ましい。
オレが今一番会いたいモンスターは、ゴールドマンでもはぐれメタルでもなければ、
このデッドペッカーだ。
イケ魚がこうつぶやいた。「だいたいあこらへんにおるかな。ルイスついてきてや。」
オレはイケ魚の後を追い、指定したその場所で二人は立ち止った。
「ルイスここらへんやで!もう数秒でエンカウントできるわ。」
マジかよ、ほんとにこんな場所にデッドペッカーがポップするのか?絶対無理だろ。
オレは心の中でそう思っていた時に、イケ魚が相変わらずの関西弁でこう叫んだ。
「もうちょい、ほんのちょっとだけ右かな。よし、ちょっとだけ動くわ!」
イケ魚が微妙に半歩だけ足を動かした。すると!!その瞬間、錆びついた空気を
切り裂くように、急に目の前にデッドペッカーが現れた。
ついに戦闘が始まった。恋い焦がれた憧れのデッドペッカーだ。
イケ魚は本当にポップする場所を知っていたんだ。
試練のバングルを装備すると攻撃がミスしやくすなってしまう。
だからオレはバングルを付けずにまずばくれつけんでデッドペッカーの体力を削る事にした。
大分弱らせてから、さぁバングルを装備しようと思ったがバングルが装備できない。
マジかよ・・。一度装備したものじゃないと戦闘中に装備が出来なかった。
オレは、夢にまで見たこの戦闘をしぶしぶ諦めデッドペッカーをイケ魚に譲った。
その後も何回かイケ魚のサポートで、デッドペッカーのポップする場所で待ち伏せをして
戦闘をする事ができ、オレは無事にバトルマスターに転職する事ができたんだ。
イケ魚がいないと恐らくクリアすることは出来なかっただろう。
オレはこの一連のバトルマスター転職クエを、デッドペッカー、プレイ不能、死んでしまう
という事に掛けて、デッドフェスと呼んでいる。
あと、絶対忘れちゃいけないのがメガザルロックフェス。レベル50解放クエストだ。
おっとりエル子に「ねぇルイス、梅干し岩を倒しにいこうよ」と誘われ、
相棒プク男と供に特攻した。戦士で全くダメージが通らなかったオレは、
攻魔330の魔法使いを雇って死に物狂いでクリアした事を今でもまだ覚えている。
あの阿鼻叫喚の景色はこの先はもう見る事はできないんだろう。
その瞬間の瞬間にしか見えないものがある。
いつか終わりがくる事を知っているオレ達はその日、その瞬間を精いっぱい楽しむんだ。
あの夏の日、アストルティアを冒険するって決めたオレは子どものままでいたかったのかな?
いつもピーターパンやハックルベリーを探しているオレは、たくさんのフレンドや忘れられない
場面に出会い、いつの間にかアストルティアの虜になってしまったんだ。