どうも、ナドラガ神がかなり好きになっているぴのです。空と海が好き、つまり俺がウェディとなり竜族に憧れるのは当然の結果だったってわけ。
バージョン3完結しましたがナドラガ神について、あとついでにサブクエのトビアスについて話したすぎるので今回は番外編。バカ長解釈語りです。
!!!吼えろトビアスのネタバレを含みます!!!
トビアス、元々わりと好きだったんですよ。情熱だけが先行する直情バカ。もっと楽に生きる道もあるだろうに己の信念とか大切なもののために楽になれずに悩み苦しむ愚かな男って最高ですよね。無論女でも可。それを愚かと呼ぶのは天動説を信じていた頃の人間を私たちが笑うようなことかもしれないけれど、不器用と呼ぶにはその愚かさを貫いてほしいのでやっぱり愚かと呼びたい。そうして愚直にもがき苦しみ一念貫き通した瞬間が好き。
つまり吼えろトビアスです。
彼はやはり情の男ですね。
オルストフ様は大義のために小義を切り捨てることができた。エステラさんを利用することに対して心は痛まないのか?って問いに「…………痛まんよ。我らはもう後戻りなどできぬ。」と答えたように、後悔を滲ませても、それでも進むことができた。できてしまった。
でもトビアスはそういうことはできない。娘のように思うルビーか、竜族全体の危機か。後者を取るのがトップとして正しい思考ではあるけれど、彼はそういう時選べない。諦められない。その愚かさを貫き通した時、それは信念へと化ける。
ルビーを尊重し、手を離してやることはできた。でも、やっぱり帰ってくるまで待ってるなんてことを言えてしまう。ルビーが全ての魔瘴を浄化しきるまでに彼の寿命が尽きることもあるだろうに、理想論で語ってしまう。
だから気に入った。
竜族全体の未来のために竜化しても彼の信念は負けた。でもルビーのためなら彼はその力を十全に使いこなせた。心配なんて杞憂だった。手の届く範囲しか助けられないなら、手の届く範囲が大きくなればいい。ナドラガンド協団長、彼はきっと素晴らしいトップになるのでしょう。
さて、ではそんな彼と竜族を思う心がそっくりな堕ちる前のナドラガ神とは一体なんだったのか。
もう一度総主教様の話に戻りましょう。竜神の意思、オルストフ。彼はきっと本心からエステラさんを大切に思っていた。それでも今まで各領界で死んでしまった竜族、ナドラガ神を復活させるために散っていったアンテロや神官長、竜族を一つにするためとはいえ邪悪なる意思により死んでしまった人々、彼らの犠牲を自分がエステラさんを殺したくないからって無駄にできない、そう思ったから、ナドラガ神復活を止められなかったんじゃないだろうか。
そうして、それでもやっぱり最後の最期、エステラさんに生きる道を示した。あの時道を作ったのは総主教様であり、ナドラガ神であった。
もしあれがエステラさんじゃなくてトビアスとか他の竜族でもきっと彼は同じことをした。自らを滅ぼすために協力した存在だとしても、ずっと見守ってきた子供で、何よりナドラガ神は竜族を愛していたから。だって彼は種族神について、封印したこと以上に竜族を苦しめたことについて怒りを顕にしていた。勝つ気満々だったけど、万が一、億が一自分が滅びた時、竜族が共に滅びてしまわないように神獣を遺した。億に一つも竜族が自分のせいで苦しむことが許せない、それは種族神への憎しみにも勝る愛だったんだと思う。
きっと彼は、とても愛情深い神様だった。
そう考えた時、彼が邪神に堕ちた経緯についても考え込んでしまう。ナドラガ神はなぜ力を求めたんだろう。彼は兄だった。母を失い、守ろうとしていた、なんて考えるのは贔屓目に見すぎだろうか。その果てに、何のために力を求めたか忘れてしまって、いつしか大いなる闇の根源に利用されてしまったんじゃないだろうか。
空の神、ナドラガ。その心を映す空はずっと美しかったから。
どうやら私はまだドラクエをなめていたようです。天災じみた存在であった冥王と魔王に油断していた。まさかこんなに刺さるラスボスが来るなんて思ってませんでしたよ。
ナドラガ神の肉体は滅びた。けれど、他の種族神がそうであるように、ナドラガ神もきっと、意思だけの存在となって竜族を見守っている。彼の竜族への愛は本物であっただろうから。炎に、氷に、闇に、水に、風に、彼の神の意思は、総主教は息づいている。そうやって竜族は生きていく。そうだといいな。
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エテーネの村の北、清き水の洞窟には他の六種族の壁画に並び、竜族の壁画がある。
遠い昔、六種族に並び立っていた彼の種族。マイユちゃんがいつか闇の領界に行くように、ラグアス王子がその経験を糧としたように、七つの種族は再び共に生きていく。
最高の物語でした。ありがとう、ドラクエ10。