「私はタップデビル様に一目惚れしました。物陰からいつも見ていますが、できることなら、その凛々しい姿を間近で見続けていたいです。そこで、2匹ほど、できる限り傷を付けないで討伐して、その剥製を持ってきてもらえませんか?」
う~ん、なんか不気味な依頼ですね(・_・;)
だけど、報酬がプラチナ鍛冶ハンマの素材であるレッドアイなので引き受けることにしました。
タップデビルのいるスイゼン湿原に行くと、ちょうど2匹、ダンスの訓練をしていました。
「さあ、神の踊り手の称号を得られるまで、レッスン、レッスン!」
「先生、もう無理です!」
「弱音を吐くんじゃな~いわよぅ!サザンビークという大国にいるタップデビルは、あちしたちと違って、ステテコダンスや死の踊り、さらにはクロスチョップまで使えるそうよ~。あちしたちも負けるわけにはいかないのよぉ!さあ、立って!アン・ドュ!」
「はい、先生!」
「その活きよぉ!それらをマスターしたら、マッスルダンスやブレイクダンス、船上ダンスにみちづれのワルツ、ダンスカーニバルなんかも覚えてもらうわよぉ!」
2匹のタップデビルがダンスのレッスン中でした。
「残念だけど、討伐させてもらいます。」
「何奴!?」
どくばりの急所攻撃と僧侶のザキで2匹を傷つけることなく討伐し、防腐処理をして、その剥製を討伐隊の記録係の元に届け、依頼は達成。
報酬のレッドアイをもらえました^^
その晩、匿名で依頼してきた方の元にタップデビルの剥製が届きました。
「はぁ、愛しのタップデビル様・・・」
「そんなにボクのことを見つめてくれるなんて、君もモンスターが好きなんだね」
「!」
タップデビルの剥製の一体が動きだし、みるみるうちにピンク色をした体に、うねる触手、肥大化した昆虫の腹のような下半身に、腹部には大きな口、見るのもおぞましい魔物になりました。
「にゃはははは、そんなにモンスターが好きならば、食べてあげる!」
「いやぁぁぁぁぁぁーっ!」
「ふう、おいしかった。人間を食するという快楽は、モンスターだからこそ味わえるんだね。人間からモンスターになれてよかったぁ。」
「相変わらず食意地が悪いわね。」
「そう言わないでよ。ヘルヴィーナス君。だけど、君がボクの体に植え込んでくれたジェリーマンの遺伝子はいいね!おかげでモシャスが使えるから、ボクの大好きなどのモンスターにも変身できるよ。」
「よかったでございますね。カルマッソ会長。」
「それにしても、タップデビル討伐に来た、あいつ。なかなか面白そうな奴だったね。また、会えないかな?」
「いすれ、巡り会うこともございましょう。」
「そうだね。楽しみだね。とりあえず、今度はどこかの住宅村のモンスターの像に化けて、その家の住人を食べることにしよっと!」
カルマッソと呼ばれたおぞましい魔物とヘルヴィーナスはその場を去りました。