「かつての雪辱を晴らしたい」
こういって、1人の他チーム所属のドワーフのバトルマスターも征伐に加わりました。
征伐の主な対象はてっこうまじん。このドワーフはかつてカミハルムイ領にて、てっこうまじんに挑戦したものの、瀕死の重傷を負わされ、命辛々逃げた過去があるのでした。
てっこうまじんは、かつて災厄の王がアストルティアに初めて出現した時よりもさらにもっと昔に堕天使の力によって生まれたメタル素材でできた黒い甲冑の魔物です。その堕天使は、当時の世界を震撼させていた魔帝国に捕らわれていました。その魔帝国は聖竜グレイナルによって滅ぼされますが、その時に魔帝国の暗黒皇帝を守るために、命を擲ってまで戦った魔法戦士の鎧が堕天使の力で魔物化し、てっこうまじんになったとされます。
その後、暗黒皇帝も堕天使も「星空の守り人」に倒された後、てっこうまじんたちは魔界に行き、そこをうろつく「死の魔人」と呼ばれるようになります。中には、魔界にて大魔王にスカウトされて、その軍勢に加わった個体もいるようです。
戦闘では火炎斬りや稲妻斬りといった魔法剣の他、兜割りも可能ですが、特に危険なのは生者を道連れにしようとして放たれる諸刃斬りです。また、鎧の堅さをスクルトで強化すると同時に、盾を巨大化させて敵の攻撃から味方をかばうこともあります。このことから「死の魔人」の他に「鋼の守護神」という称号も持ちます。
所持している盾も独自の生命を持っており、盾にある顔の彫刻の口からは大砲を吐き放つと同時に、自身の魔力で所持者の体力を回復させることも可能です。
そんなてっこうまじんへの再戦の場をそのドワーフさんは得ました。
「あら、あなたはかつてカミハルムイで痛めつけてあげた緑のチビちゃんじゃなぁーい?また、あちしにやられにきたってわけ?」
「ここまでに私は様々な経験を積んだの。もうあなたには負けない。」
「なら教えてあげるわ。どんな修行も経験もあちしの前では無に帰すってことを。」
ドワーフさんは私の方を見て
「手出しは無用よ。こいつは私一人で片づける。」
「そんなフリフリな衣装じゃ私の剣技に耐えられないわよ。昔の見た目はダサい防具の方がむしろ傷が浅くて済むはずよ~」
そう言って、てっこうまじんが諸刃斬りを放ちますが、ドワーフさんはそれを受け流します。
「あら!?」
「わたしが得たのは天駆ける竜の剣技。さあ受けなさい!」
「ま、待ってぇ~ん!」
「天地雷鳴斬!」
「いやぁ~~ん!」
てっこうまじんは瀕死のダメージを受けます。
「待って、これあげるから助けて。」
てっこうまじんが差し出したのはステテコパンツでした。
「あ、まちがえたわ、えっと・・」
「いらない。」
そう一言言うと、ドワーフさんがとどめの一撃を放ちます。
「天衣無縫斬!」
「ぐああああああああああああ!」
かつて苦戦した相手をたった一人で倒せるまでの強さに至ったドワーフさんの喜びの笑顔を実に清々しいものでした。
こんな感じで、このチームクエスト「レビュー留街道北征伐」は終わりました。
また、私の主力仲間モンスター3体のうちの1体であるマジカルハットのなつき度も、このクエストを通じて、300になりました。