ラダトーム城を発った勇者がスライムを相手に経験を積んだ後、第2の試練として円らな瞳と鋭い牙、蛾のような触角にコウモリのような翼を持つ悪魔鳥が立ちはだかります。ドラキーです。
可愛らしさと恐ろしさが程良いバランスで混合している外見がドラゴンクエストのモンスターの代表格にふさわしい一種であるドラキーについて今回は述べていきます。
ドラキーは夜行性で、夜空を仲間と共にきまぐれに飛び回ります。敵や獲物を見つけると上空から急降下して噛みつき、牙で付けた傷口から血を吸おうとします。また、超音波で敵の聴神経を刺激して、無意識にマヒさせる能力もあります。成長するとドルマドン、マヌーサ、ラナルータ、ドラゴラムと様々な呪文を習得し、さらにそれらをまりょくのうたで強化できるようになります。なお、その過程で覚えた呪文の種類によって、メイジドラキーやチョコドラキーといった同属別種に変化するようです。さらにドラキー属のモンスターが3体集まると合体してグレートドラキーとなり、シューティングスターやグレイトフルブリザードといった魔王すら脅威に感じる威力の特技を放ちます。ドラキーは「コウモリのような」という直喩に表現されます。これはドラキーがコウモリが哺乳類であることに対して、鳥類だからです。卵生であることや鳥系とスライム系の配合で誕生したことなどから、コウモリが変化したモンスターではないことは明らかです。また、ドラキーは鳥系以外に悪魔系や魔獣系に分類されることもあります。これは始祖たるドラポヨロンが闇から生まれたためと思われます。
勇者にとっての「第2の試練」として、その外見も重なってドラゴンクエストの世界にいるモンスターたちのナンバー2(何の順位かは実のところ不明)の座が、モーモンの登場で脅かされつつあると思い込んでいるようです。
将来的には体に水玉模様が生じたドットラキーというモンスターに進化したいという夢を抱いています。
一方で何かを悟ったように同じ表情を浮かべ続けるドラキーに何かを感じ、その境地を求めて弟子入りする者もいるらしいです。
格下レベルがあまり高くないためなのか、ストレートにクエストの討伐対象として指定されることは少ないです。さらに同様の理由で、ドラキーには天敵が多いです。ダッシュラン、ワニバーン、ドラゴンコープスといったモンスターによく捕食されます。けれども、食べられた後はボーンバットとなり、ゾンビ系モンスターとして復活します。
ドラキーはロト編では1と2に、天空編では5に登場します。これらは時間軸では後の時代になります。
このことから、ドラクエ3、4、6の時代には、物語内には出ていないだけで、進化前の始祖であるドラポヨロンがどこかにいるのかもしれません。
けれども、そう考えるとドラクエ3より前の時代の話とされるドラクエ11の世界にドラキーがいるので、矛盾が生じます。
また、ドラクエ11がドラクエ3より前の時代の話とすると、精霊ルビスや異魔神の存在を否定することにもなります。
いくつか推測されることとして、ドラクエ11の物語はアリアハンで語られるおとぎ話という説です。ドラクエ11の物語や伝説を記した本がアリアハンのオルテガの家にあることは確認されています。まだドラクエ3の時代ではドラキーはドラポヨロン形態であり、ロトゼタシアの物語を読んだどこかの魔王がドラポヨロンをドラキーへと変えたのではないかと想像できます。あるいは、ドラクエ11の物語が実話だとするならば、ドラポヨロンはドラクエ11よりさらに過去の時代に既にドラキーへと進化しており、魔王ウルノーガや邪神ニズゼルファの死後に魔界に移住していただけなのではないでしょうか。その後、ゾーマが異界の魔物を呼び出すために開いた暗黒回廊を通ってアレフガルドにやってきたとも考えられます。なお、暗黒回廊を用いてゾーマがキラーマシンを配達してもらったという史実は確認されています。しかし、ゾーマは工学知識と取説の言語の知識が不足していたようで、勇者ロト抹殺のためにキラーマシンを起動させることなく討伐されます。ゾーマの死後、開いたままの暗黒回廊を通じ異世界からドラキーがやって来たと推測できます。また、この暗黒回廊説はドラポヨロンが始めはアレフガルドにやって来て、後にドラキーに変化したとも言えます。ただし、ゾーマが倒れた100年後に、賢者とまもの使いの素質を兼ねた自称「伝説の遊び人」が、ドラキーをスカウトできているので、どんなに遅くてもドラキーがアレフガルドに出現したのはその期間ではないかと言えます。
あるいはドラキーは、ドラキー⇔おおドラキー⇔ドラポヨロンの変化を繰り返しているのかもしれません。ドラキーとドラポヨロンの存在が、ドラゴンクエストの物語の空白を埋めるのに一役買いそうな予感がします。