ドラゴンクエストバトルえんぴつは1993年に登場しました。当時のエニックスでは単にドラゴンクエストを象っただけのグッズではなく、そこに「遊び」を加えた商品開発を方針としていたそうです。その方針により生まれたアイテムの一つがバトルえんぴつでした。すなわち、バトエンは筆記だけでなくバトルという遊びも楽しめる設計のグッズです。
当日誌ではリアルバトエンを中心にその特徴や歴史を述べていきます。
バトエンの良さはルールのシンプルさとダメージ期待値の均一化にあると思います。
ルールについては、えんぴつを転がしてその面に記された攻撃や回復をするだけです。そして、その結果として相手のHPを0にした人が勝ちとなります。なお、コマンドについては、小学校低学年の子でも遊べるように割り算が必要なものがないのも特徴です。また、リアルバトエンの場合は最大HPが100であるため、繰り下がりの引き算も不要な点も計算が苦手な人に苦を与えない点も良いです。
ダメージ期待値の均一化については、どの鉛筆を選んでも与えるダメージは平均して16前後になるように調整されています。「この鉛筆強い」という意見はあくまで特定のコマンドだけに着目した意見であることがほとんどで、鉛筆間に大きな強弱の差はありません。結局は運によるところが大きく、故にプレイ年数や経験量に関係なく楽しめます。ただ、ドラクエ10のバトエンはマークの偏りを考えたデッキ作りゲームのため、鉛筆間の差は残念に思っています。
バトルえんぴつは1993年に登場しましたが、モチーフはドラクエ3~5にあったモンスター格闘場です。固唾を飲んで格闘場のバトルを眺める点とバトエンのコマンドが確率による点が合致します。
なお、最初はドラクエ5の仲間モンスターだけのラインナップでしたが、第1期7弾からはべビルやバズズなどの他のモンスターも登場し始めました。
第1期10弾からは主人公やその仲間もバトエン化され、鉛筆に付けて強化できる装備キャップが登場しました。
またバトエンの人気の高まりに合わせて、多少は戦略性を出すためにお助け消しゴムも第1期の中期に登場しました。また、キャップも装備以外に、職業や仲間や状態変化の物も順に出てきました。
第1期は37弾まで続き、第2期はモンスターズがテーマで全18弾登場しました。一番の特徴は配合パイプです。2本の鉛筆をパイプで繋ぎ、パイプについた矢印の指す側の鉛筆のコマンドを実行できます。すなわち、多少の制限はあるものの好きな鉛筆の強力なコマンド同士を繋げて新しい鉛筆が作れるのです。
第3期はドラクエ7の発売後に登場しました。鉛筆にダイスやトランプマークが付き、より微妙な確率のコマンドも出てきました。他にも、五角形の鉛筆や他の鉛筆に攻撃を繋ぐ鉛筆なども登場して、バトルのバリエーションが増えました。第3期は100弾まで続き、その100弾には当時はネタバレ厳禁なラプソーンが登場し、豪華セット故の高価さに反して売切までが早かった感じがしました。
第4期は第3期の延長的な感じですが、バトル中に追加攻撃するリバース消しゴムやバトル中に1回だけ使える必殺技コマンドなどが登場しました。57弾まで出ました。
第5期はリーダーと仲間2本という3本1セットで戦うパーティバトル用の鉛筆が出ました。インフレ感があるかもしれませんが、仲間を呼ぶコマンドの対象を「ゾーン」ではなく「鉛筆」にした感じなので、実質ダメージ期待値は1本のバトエンと同じです。そのため、3本VS1本というバトルも問題なくできます。この第5期は35弾まで続きました。
第6期はバトエンの原点回帰ということで、ダイスやトランプ、必殺技など廃止した真っ新な感じにしましたが、逆にシンプルになりすぎて不評だったのか、森林伐採抑制のためなのか、ほんの5弾で終わってしまったのは残念でした。
第6期の終了が2013年だったので、その4年後にドラクエ10にて再び登場したのでした。
ドラクエ10での実装を期にバトエンを知って興味を持った方もいるので、リアルでもまた再販されてほしいところです。
なお、後日にドラクエ10にはない、リアルバトエンの変わったコマンドを紹介したいと思います。