ドラクエ10 始まりのエピソード
光の粒子が舞う酒場で、若き剣士は決意を胸に立ち上がった。
憧れていたのは、黒き衣を纏い二刀の剣を自在に振るう伝説の剣士。だからこそ、迷わずバトルマスターの道を歩み始めた。鋭い剣閃、立ちはだかる敵をなぎ倒す爽快感。自分のスタイルには何の疑問も抱いていなかった。
あの日、あのチームの扉を叩くまでは。
「ようこそ、私たちのチームへ!」
※温かい声で迎え入れてくれたのは、パーティーの盾であり生命線でもある僧侶のリーダーだった。どんなに苛烈な戦場でも取り乱さず、傷ついた仲間の元へ真っ先に駆けつける。誰よりも仲間を思い、パーティーの命を繋ぐその背中は、どんな強力なアタッカーよりも気高く、そして美しく見えた。
(あんな風に、誰かを支えられる存在になりたい) 剣を置き、杖を握りしめる。
転職を終えた青年の前に広がっていたのは、今までとは全く違う世界だった。
「たたかう」ことだけに集中していればよかった頃とは違う。画面の端で激しく上下する仲間のHPゲージ、刻一刻と変わる戦況、そして押し寄せる敵の猛攻。仲間たちの動きを一瞬たりとも見逃すまいと視線を走らせるが、思ったように呪文の手が追いつかない。
「仲間を護るって、こんなにも難しいのか……」
額に汗を浮かべながら、青年は深く息を吐いた。だが、その瞳に諦めの色はなかった。憧れたあの背中に少しでも近づくため、彼は今日も仲間たちの後ろ姿を見守り続けている。

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