『星導秘録』という 導きの天使による報告書だ。
過去に 天星郷への導きを断念した
英雄候補に関する報告が 記されている。
メギストリスの都の 討伐隊員ポッカラは
アストルティアの冒険者の日替わり依頼を
ほぼ1人で担っている。
アストルティアの膨大な冒険者が
毎日毎日ひっきり無しに 彼の元を訪れては
依頼を受注し 数万Gの小遣いを得るのである。
この平凡な一介のプクリポが 多くの冒険者の
生活を支えているなど 誰が想像できよう?
全く 地上に住まう者どもの考えは分からない。
ポッカラさん、今日もお疲れ様です!等はまだしも
#DQ10君のハートにミリオンスマイル
などと、意味不明な呪文で彼を称える者もいると聞く。
星導会議では、プクリポに縁のあるらしい
天使長による強い推薦もあり
彼を天星郷に招き入れる方向でまとまりかけてた。
その会議で、改めて討伐隊員ポッカラの
様子が映し出された。
その時、我々の耳には彼のか細いうわ言が聞こえてきた。
365ニチ…24ジカン…
365ニチ…24ジカン…
ワタシハ…イツデモウケタマワリマス…
何と、彼は完全に不眠不休で働いているのだ。
そう、深夜だろうと早朝だろうと…直立不動で。
我々は、その壮絶な職務精神に言葉を失った。
彼に必要なのは、英雄として大任を課す事ではなく
ただの休息ではないのか…?
彼を推した天使長も、気まずい顔をしている。
結局この件は、結論が出るともなく
自然と沙汰やみとなった。
討伐隊員ポッカラ…。
あのつぶらな瞳の奥にある深淵には
決して深入りしてはいけないのだろう…。