その夜、私は日誌を書いていた。
ああ、まだ一回分ネタのストックがあるな。
ホーリーライトを死ぬほどばらまいてやったって、書いてやろう。
アクセサリも手に入ったし、合成もそこそこの結果だ。
満足の行k…
「ジー」
…
『(まあ…なんのお誘いかはわかるが…)
日誌書き終わるまで待ってもらっていいか?』
「じゃあその後でいいからグラコス行こう。メンバーは集めておくから。」
『なるべく早く書き上げる…』
今回のメンバーはめぐりんさん、ピータさん、リッカさん、私の4人だ。
どうやら今度はキャンセルなしでグラコスに挑むらしい。
前回のリベンジのつもりだろうか。
話ぶりからするに、物理構成、斧主体で行くらしい。
ふーん…。まあ、いけるんじゃね。
私は僧侶だし、リッカさんは道具固定みたい。
となるとめぐりんさんはレンジャーか。
物理っていうとあっちになるだろうし。
じゃあピータさんは斧だから戦士かな?確かやってたはず。
攻撃役・攻撃兼サブヒーラー・補助・回復か。
バランスはいいな。あとは物量に押しつぶされなければいけるだろう。
じゃあいこうk
迷宮に入った時、パーティ構成を見て一瞬固まった。
パーティはレン・レン・道・僧であった。
えっ
ちょっとまってちょっとまって。
なんで誰も突っ込まないの?
…
落ち着こう。
ちょっとパーティの性能を再確認しようか。
まずオノ2。火力だ。これはある。武器もアポロンだし問題ないだろう。
蘇生も私が絡まれるパーティには珍しく3人もいる。安全だ。
道具使いで継戦能力・補助もバッチリだ。
…なんら問題ないのではないのか?
でも、なんだろうこの違和感…。
要求は満たしているのに。
ステータスか?そんなもので大勢が決するはずが無い。
だったらやれるはずだ。問題はない、はずだ。
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ここで私は職業についてあれこれ煩く言うつもりもなかったため、
特に考えもしていなかったし、
分かっても面倒になっていわなかったと思うが、
この漠然とした不安はあたっていた。
レンジャーはサブヒーラーとしては優秀だが、2名居ても持て余してしまう。
何故ならアタッカーとして1名は攻撃を重視しなければならないからだ。
攻撃を行わなければ、戦いに勝つことは出来ない。
そうなると、単純にアタッカーを担当する側の戦闘力は
戦士に比べるとハンデになってしまう。
加えてサブヒーラーはアタッカーも兼任出来るという性質から、
攻撃・回復のどちらに回るかを予測し難い。
事前の意識あわせが出来ていなければどちらがサブヒーラーになるのか、
いつどんな行動をするのか、ということを把握し辛くなる。
これにより何が起こるかというと、
例えば僧侶が蘇生を任せて回復を優先出来ない、ということがある。
相手の手数が多い場合、手数を短縮できる全体回復は非常に有効だが、
これを利用できない。
一見ヒーラーを増やせば生存能力が高まるように見えるが、
それはお互いがお互いの動きを把握していないと難しい。
この構成の運用は見た目以上に繊細なのだ。
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が、実際の所、グラコス戦に限ってはこれがうまく働いた。
ピータさんは攻撃に専念しつつピンチ時は自己回復。
めぐりんさんは攻撃と蘇生補助、
リッカさんはMP管理と補助、
私が回復…と。
テンタコルスの応援付き海魔神の怒りがきたときは
2名が同時に死亡したため、
恐ろしいことになりかけたが、どうにか倒すことが出来た。
やはりサブヒーラーは運用さえ間違えなければ復帰しやすい。
かなり有効なのだ。
…が。
ここで調子に乗ったのがマズかった。
その後めぐりんさんがアトラス強を突っ込んで勝ってしまった。
ズタボロになってるのが一名居たが、まあそれはいい。
しかしそのヘロヘロの頭で何を思ったか、バズズ強を突っ込んでしまった。
勝てない?
いや、アトラスに勝てるんなら行けるだろ?
問題ないさ。
開始直後、ツインクロー2連打でレンジャー二人が死亡した。
ヤバイ…ちょっとこれ、マズいんじゃ…?
続く。