【金のオノ、銀のオノ】
むかしある男が、川のそばでヒポせんしを狩っていました。
ところがオノ無双中手が滑って、持っていたオノを川に落としてしまいました。
男は困ってしまい、サポートセンターに問い合わせました。
不正なアイテムロストとしてデータを復旧してもらうためです。
すると川の中からヘルメスというゲームマスターが出て来て、ぴかぴかに光る金のオノを見せました。
「お客様が落としたのは、このオノですか?」
「違います。わたしが落としたのは、そんな装備出来そうにないオノではありません。」
するとゲームマスターは、次に銀のオノを出しました。
「では、このオノですか?」
「いいえ。確かにシルバーアックスはてつのオノより強いですが、できのよさと錬金効果を加味すると、充分な補償とは言えません。」
「では、このオノですか?」
ゲームマスターが3番目に見せたのは、使い古したてつのオノでした。
「そうです。拾って下さってありがとうございます。」
「ご迷惑をおかけしました。これはお詫びの印です。」
ゲームマスターは、金のオノも銀のオノも男にくれました。
喜んだ男がこの事をフレチャすると、フレはうらやましがって、
「そうか、これは武器の隠しパワーアップイベントだな!」
と、さっそくアポロンのオノを持って川へ出かけました。
そして、わざとオノを川に投げると、サポートセンターに問い合わせました。
そこへ川からゲームマスターが出て来て、
ぴかぴか光る金のオノを見せました。
「お客様が落としたのは、このオノですか?」
「そうです。金のオノです。その金のオノを川に落としてしまったんです」
ゲームマスターは金のオノを渡すと、
「ご利用ありがとうございました」
と言い、川の中へ戻ってしまいました。
しかしそのオノは黄金の飾りオノでした。
うそつきで欲張りなフレはオノが5000Gでしか売れず、
アポロンのオノもロストしてしまい、バザーの前で泣いていました。
【狼と羊飼い】
ある村に、ヒツジ飼いの男の子がいました。
彼は羊飼いの仕事にあきてしまい、暇潰しにTwitterを始めました。
そこで男の子は、とつぜん拡散希望をつぶやきました。
「オオカミが強化されるぞ!念願の強化がくるぞ!」
レンジャーがおどろいて、かけつけてきました。
確かにオオカミアタックは強化されましたが、
使えるのはコロシアムぐらいで、
普段は他のスキルより使用を優先するものでもありませんでした。
一部を除くレンジャーはがっかりして去って行きました。
何日かして、男の子はまた拡散希望でつぶやきました。
「たいへんだ!フェンリルだ。フェンリルアタックが実装されるぞ!」
レンジャーは、名前を聞いて飛び出してきました。
しかし実際の画像を見ると…
「ふ…フェンリ…なに?」
「だ、ダメージってこんだけ?」
レンジャー達の反応はあまり良くありませんでした。
ある日、クエストが配信されて、フェンリルアタックが実装されました。
男の子はあわてて、拡散希望でつぶやきます。
「フェンリルアタック強い!強すぎる!!レンジャーの時代が来たんだよ!!!」
けれどもレンジャーは、知らんぷりです。
なんどもがっかり速報を出した男の子を、
だれも信じようとはしなかったのです。
かわいそうに、男の子はつぶやきをウザがられて
チームからハブられてしまいましたとさ。