むかしむかし、とても美しくてやさしい娘がいました。
でも悲しい事に、娘と仲の良かったチームのサブリーダーは
早くに解約してしまいました。
そこでリーダーがメンバーを募り、
娘には新しいサブリーダーと二人の(自称)お姉さんが出来ました。
ところがこの人たちは、そろいもそろって大変な地雷だったのです。
新しいサブリーダーは、自分の二人の下僕よりも
プレイヤースキルがある娘が気に入りません。
「まあ、あんたは何て指示のうるさい娘でしょう」
サブリーダーと二人のお姉さんは、
ストレスでハゲる職業をみんな娘に押しつけました。
よくパーティに呼びつけられ忙しかったため、
時間のない娘の収入は少ないものでした。
なので、娘の装備は失敗錬金混じりです。
ドレスアップをしたり、美容院に行く余裕もなく、
娘の髪は初期に設定した灰をかぶったような色のままでした。
そこで三人は娘の事を、『灰をかぶっている』
と言う意味のシンデレラと呼んだのです。
ある日の事、某王子がお嫁さん選びのイベントを開く事になり、
シンデレラのお姉さんたちにも招待状が届きました。
二人のお姉さんたちとサブリーダーは、大はしゃぎです。
そんなお姉さんたちを、シンデレラはニッコリ笑って送り出しました。
それからシンデレラは悲しくなって、シクシクと泣き出しました。
「ああ、わたしもイベントに行きたいわ。王子さまにお会いしたいわ」
でも、シンデレラのボロボロの装備では地雷だと思われてしまいます。
その時、どこからか声がしました。
「泣くのはおよし、シンデレラ」
「だれ?」
するとシンデレラの目の前に、妖精が現れました。
「新しい装備が欲しいですか?」
「うん、新しい武器も欲しいし…1000万Gぐらいあったらいいのになぁ」
「簡単なことですよ、現実のお金でゴールドを買うのです。1000万Gなら××円でどうです?」
「へぇ〜!イイネ!買っちゃおうかな〜!ってダメー!それはRMT行為だよ!RMT行為にばくれつけん!」
シンデレラがノリノリで対応すると、妖精はあっさり降参しました。
妖精は代替案として
限定レンタル衣装とカボチャドルボードプリズムを提示しました。
また、専用のガラスの靴も与えてくれました。
「さあ、楽しんでおいでシンデレラ。でも、レンタルは十二時までしか続かないから、それを忘れないでね」
「はい、行ってきます」
さて、お城の大広間にシンデレラが現れると、
見たことのない装備にあたりは静まりかえりました。
それに気づいた王子さまが、シンデレラの前に進み出ました。
「ぼくと、踊っていただけませんか?」
しかし、シンデレラはダンスが下手でした。
王子にリードして貰おうとしましたが、
ガラスの靴は踊らされガード100%に加え、
転びガードが一切付いていない上級者向けモデルでした。
王子はひとときも、シンデレラの手を離しません。
シンデレラは倒れないようにひたすらキラポンを撒き続けました。
そして朦朧とした頭で気がつくと十二時になろうとしていました。
「寝落ちが怖いのでこれで失礼します、王子さま」
シンデレラはていねいにおじぎをすると、急いで大広間を出て行きました。
ですが、その瞬間にキラポンが無くなり、
転倒したシンデレラは、ガラスのクツがぬげてしまいました。
しかし回収する時間はもうありません。
シンデレラはルーラストーンで急いで家へ帰りました。
シンデレラの後を追ってきた王子さまは、
落ちていたガラスのクツを拾うと、
このクツの持ち主と結婚すると公表しました。
次の日からお城の使いが、
ガラスのクツを装備できる女の人を探して回りました。
お城の使いは、シンデレラ達のアジトにもやって来ました。
サブリーダーは、一度装備したクツは本人以外装備出来なくなるため、
自分達には装備出来ないことを理解していました。
そこで、サブリーダーと二人の姉は、
示し合わせて自分達のクツにガラスのクツをドレスアップしようとしました。
しかし
「不正な入力を検知しました」
のメッセージが出たあとすぐに、
三人はゲームマスターに連れ去られてしまいました。
残ったシンデレラはガラスのクツを装備し、
王子と結婚することができましたとさ。
めでたしめでたし。