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聖者

シーン

[シーン]

キャラID
: YX176-339
種 族
: エルフ
性 別
: 男
職 業
: 僧侶
レベル
: 130

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シーンの冒険日誌

2016-04-30 22:27:35.0 テーマ:その他

おでかけ迷宮の悲劇

※この話はフィクションです。

ようやく仕事休みが貰えた俺は、久方ぶりに王家の迷宮へ向かった。
もうずいぶん訪ねていないが…彼女は元気にしているだろうか。

しかし、迷宮の入口に行くと彼女の姿は見当たらない。
何処に行ったというのだろう。
いつもならここにいるはずなんだが…。

まあ、そうだな、いつまでもここで突っ立っているハズないよな。
俺は何を期待していたんだか。
せっかくここまで来たんだ、1階でもぶらついてみるか。


1階に降りると、何か丸い物体が高速で迷宮を走り回っていた。
なんだアイツ?あんなモンスターいただろうか?
見れば箱を回収していっている。
ちょっとまてそれ俺の箱だぞっ!!!

俺は奴を追いかけた。
どうにか先回りして箱の前に立ちふさがった。
コイツどこかで…?


「どいてよ、今4倍速なの」


丸い物体が話しかけてきた。
この声、そしてこの恰好はまさか…。


『お前、まさかアンルシアか!?』

「知らないわ、人違いよ」

『どうしたんだよその体!前はもっと細くて背も高かっただろ!?』

「知らないっていってるでしょ!!!」

『ああ、もうこいつは…!ちょっと来い!』


どうにか箱を集めて迷宮の外に引っ張り出す。
すると彼女はモノほしそうにこちらの箱を見てきた。


「その箱いくつか頂けないかしら。私の持っている分だとちょっとノルマが…」

『えーと…どれ?』

「ごめんなさい、できれば竜箱がいいわ」

『いいよ、もう全部持って行ってくれ』

「ありがとう」


彼女は申し訳なさそうにお礼を言った。


『で、どうしたんだその体』

「あなたが来なくなって随分経つわ。
 私もそれなりに修行はしていたけれど、ちょっと色々あって…。
 運動不足になってしまったの」

『いや運動不足って無理があんだろ』

「運動不足なの!」


どうみても太っているとかそんなんじゃなく、
圧縮されているように見えるんだが…。
シュリンクブレス受けて踏みつけ食らったようにも見える。


『じゃ、その足の速さは?』

「修行で足が速くなったのよ」

『お前さっき運動不足とか言ってなかったか』

「そうよ」

『矛盾してないか』

「…」

『本当のことを、話してくれないか』



「ここも随分人が来なくなってしまったわ。
 以前は魔王だ討伐だ、ベルトだって賑わっていたのにね。
 それで放置されっぱなしになって…運営神っていうのがやってきたわ。
 アルバイトをしないかって。
 このままじゃここはダメになってしまうって…」

『で、それか』

「ツール、っていうもののアルバイトを始めたの。
 今まで通り探索はするんだけど一人で。
 一切経験にならないんだけど、利用客が増えるんだって。
 でもそうしたら、皆ツールの方に行って本当に戻ってこなくなっちゃったわ」

『そんなにツールっていうのは便利なのか…』

「ゲンダイジンっていう人種は時間がないんだって。
 成長の伸びしろがない私の世話なんてもう飽きちゃって…
 時間もかかるから他のことしたいみたい。
 ツールなら私に箱だけ回収してもらえるから。
 人って楽な方に流れちゃうものなのね」

『お前、それでいいのか?』

「もう契約すんじゃったの。止められないわ。
 運命ってものがもう一度変わるのなら…って思うけれどね。
 今はこれを続けるしかないわ。
 あ、ごめんなさい、また呼ばれたの。もう行くね」


彼女は慌ただしく迷宮へと向かって行った。
俺はそれを見ているしかなかった。


何がツールだ。
そんなもので彼女との探索をやめるというのか。
そんなことが本当に正しいのか。
俺には分からない。彼女の境遇を思うと…。


俺はネットで彼女がどんな目にあっているか調べてみた。
そして天箱が出まくるという記事をみて、
とりあえずツールを使うことにした。
現実とはとても過酷なものだということを思い知った。


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