※当記事は事実を元にしたフィクションです。
占い師の朝は早い。
夜は常に仮眠状態だと言う体を起こし、1日の行末を占う。
ーーーひどい時には悪魔のカードが三連続なんて続きましてね。
仮眠してるからってイタズラで声かけてくる人も多くて、苦労してます。
仮眠状態でないと翌日に占いの効果を発揮することが出来ないとのこと。
正確には120分だが彼らはそれに気づくことはない。ギリギリまで仮眠する。
朝に占いをした後ようやく本当の眠りにつくことになる。
その日の運勢は
「水系のモンスターを倒したらコインの破片をドロップ」だった。
何の事を言っているのかわからないと思うが、
これは彼らが絶好調であることを表すと言う。
ーーー絶好調でない日はコンビニで占い誌を読むか、
基本的に家に引きこもってカードの選別ですよ(笑)
でも絶好調の日は稼ぎ時で、とても忙しくなるんです。
そんな彼らの1日を追ってみた。
彼らの仕事は120分で決まる。
絶好調の内にひたすら海岸でコインの破片を集めるのだ。
多い日には1000以上の破片が集まると言う。
気の遠くなるような作業を終えて、彼らは家に帰っていく。
ーーーここからもっと忍耐力がいるんですよ。コインの煮詰め作業です。
ここで素人は湯切りの時に流し台に中身ぶちまけるんですよ。
私も一回経験してますけどね(笑)
コインの砂や汚れを払って、手を傷つけないように釜の中に入れていく。
手つきは手慣れたものだが、その手にはいくつか傷が見えた。
一体何枚のコインを錬金してきたのだろうか。
釜の中身を2時間ごとに入れ替えつつ、彼らはずっと監視をしている。
その日の作業は深夜まで続いた。
翌日。
家を訪ねると彼らは魔法の迷宮に向かうようだ。
ーーー今からカードを集めに行きます。
今は占い師仲間が多いものですから、募集も楽なもんですよ。
装備やカードの準備も有り合わせでいいですしね。
タロット魔人にコインを捧げ、交渉に入る。ここが彼らの腕の見せ所だ。
交渉はなんと、原始的な決闘で行われる。
ーーー先生は気難しい方なので占い師以外で来ると機嫌が悪くなるんですよ。
私たちもいいカードは欲しいですから、必死です。
なるべくAランク以上のカード固めて行きます。
太陽や審判があると楽なのでありったけ詰めて行きますね。
カードの刺し合いを通して奇妙な友情でも生まれるのだろうか。
彼らは大量のカードパックを手に帰宅した。
なお、カードをその場で開けると袋がゴミになってしまうので、
彼らは基本的に家で開封するとのことだ。
彼らはマナーに関しても厳しい。
何処かのCDだけ捨てる人々とは違うとでも言わんばかりだ。
家に帰ると休むことなくカードの選別に入る。
彼らが狙っているのはおどるほうせきやファーラットだが、
これがなかなか出ないらしい。
そう急ぐことでもないはずだが、
他人のカードが気になるのか、彼らはどこか必死でもあった。
彼らはカードの選別を終えると、占いをして、ハズレを確認し、
そしてまた仮眠状態に入る…。
朝に目覚めればまた占いをする…。
こんな生活を、彼らは繰り返しているのだ。
新参者の彼らは広場での風当たりも厳しい。
いつ自分の席が取られるかわからない…
そんな人々に、まさに今追求を受けている最中だ。
必殺技が解禁されればそれがさらに厳しくなることは想像に難くない。
彼らの戦いはまだ、始まったばかりなのだ…。
完