あの日…
メイヴ4の解禁日…!
海冥の彼岸…
熱狂の渦っ……!
死体……!
ラグ……!
聖水浸し……!
圧倒的飽和状態っ……!
押し寄せる人、人、人…!
これは渦…!人の渦…!
その渦中にシーンはいた…!
夢…!
称号…!
メイヴ4突破…!
既に勝利の情報がもたらされている…!
その報の速さ、実に一時間程度…!
これは…おれでもやれる…!いける…!
朝起きて見ればチムメンとの邂逅…!
僥倖…!勝てと神は仰る…!
光の神が仰っている…!
が…駄目っ…!
中途半端な情報…!
付け焼き刃の戦術…!
剥がれる…!強者のメッキ…!
2の経験など何の役にも立たない…!
錆付いて風化したスキルがあらわになる…!
散る…!
パーティ解散…!
話になっていないっ…!
休憩…!
クールタイム…!
とにかく疲れた、疲れ果てていた…!
『嘘つきどもめっ…!何が簡単だっ…!』
「誰が簡単だと言ったかね?」
『何っ…!?』
「彼らは本当に簡単だと言ったのかな?」
『だって、一時間で撃破したと…』
「それはネットの記事の煽りでそう見えただけではないのかね?」
「彼らは本当に簡単だと言ったのか?」
「仮にもしそういう印象を受けたとしても…だ。
シーン君、君は彼らのようなスキルがあるのかな?」
『そりゃあ…DK4を倒すぐらいには…』
「ククク…!それはいつの話だったかな?
随分と旬を過ぎた後のことだったようだが…?」
「君は初日に何をしていたのかね…?
3ですら敵わんと逃げ出したのではなかったかね…?
シーン君…彼らがもし簡単だというのなら…
それはプレイヤースキルによって裏付けされたものなのだよ…!」
『うっ…!』
「戦2では火力が足りんと見てまもの使いに手を出したな…?
それも体力オバケという情報からだろう?
だが…君は彼らと戦ったことがあったかね?
ましてや情報が出た直後のことだ…
果たしてどれだけのまもの使い、どれだけのパーティメンバーが
適応できるというのだね…?」
『だ、だが何度か戦って…』
「何度か?ほう、何度かやってみたのか?
確か飯一解散ではなかったかね?
まして彼らは1時間。多く見積もっても飯2で終わらせているぞ…!
それと同じスキルを果たして付け焼刃で求められるのかな…?」
『ぐっ…!』
「認識が甘い…!お前はここでは凡人に過ぎぬ…!
彼らと同じ土俵に立って勝てるつもりでいたのか…!
バカがっ…!
そこのところの認識をごまかす輩は一生床を舐めるっ…!」
『だったらどうしろと…!』
「大人しく野良で誘い待ちでもしているがいい…!
それが凡人のレールというものだ…!
まずは経験っ…!もがくのが凡人の戦い方…!
それが出荷への道…!」
『出荷だと…!言わせておけば…!』
出荷…!
冒険者にとってそれは不名誉な称号…!
ハイレベルの戦闘に参加
見た目は全員で勝ち取った勝利
エンドコンテンツは全員の戦闘力が一定以上でないと勝てない
だが、そこに水を差す
それはお前の勝利ではない…!
お前以外が強かったから勝てたのだ…!
お前は箱に詰められ、その地位に出荷されただけなのだと…!
勿論、それを判断する基準などはない
そうかもしれないし、そうではないのかもしれない
でも、もしかしたら…
もしかしたら他の連中は出荷と思っているのかも…
渦巻く疑念…!
駆け巡る戦闘でのミス…!
その思いがループ…加速…増幅っ…!
だったら
出荷…!
最初から出荷されたと思っていた方が…楽…!
楽なのだっ…!
がっ…認められない…!
ニッシャーとしての意地…矜持が…!
それを認められない…!
続く。