『次に入室直後のポイントについてお願いします』
「まずは…面接官の様子をうかがうことです」
『すぐに行動しては駄目ですよね』
「実はこれもワンパターンではありません。
面接官はいくつかのパターンを用意しています。
面接官の誘導に応じて対応が求められます。」
『どのようなものでしょうか。』
「直進して迎えるとみせかけての平手打ち。
地面から謎の噴水。
前方に向けて貫通する机を投げてくる、が主でしょうか」
『いきなりアグレッシブな面接官ですね』
「直進に関してはまず受験者相談の上対応者を決めましょう。
前衛職の場合は面接官の前歯をへし折りつつ平手を受けましょう。
前歯はそのうち生えてくるので遠慮なくへし折ってください。
へし折れる人がいない場合は面接の難易度が高いので注意しましょう。
後衛職希望の人が狙われている場合は面接官の邪魔をして構いません。
ただしあまりに長い間邪魔をすると
面接官が回転してとびかかってくるので頃合いをみて逃げてください。
特に注意が必要なのは入室直後でドアを背にしているという点です。
流れに任せていると回避できない場合があるので注意してください」
『謎の噴水に関しては…』
「まず、ウォシュレットほど生易しいものではありません。
必ず周囲の人は退避しつつ全身をガードして受けきってください。
全身ガードはダーマ標準本で推奨されるやいばの防御を利用しましょう。
面接官の前歯がへし折れている場合は直撃しても問題ありません。
ここで呑気に他の行動をしていてはまず間に合いません。
面接官に初動からペースを握られてしまいます。
部屋からナニカを漏らしたような受験者が出てくるのはこれが原因です」
『な、なるほど、机にかんしては』
「面接官が大振りなので簡単に避けられます。避けてください」
『それどころではない場合も』
「避けるか、祈ってください」
『はい』
『で、では面接開始後は…』
「しばらくは入室直後と似たパターンで面接官がアクションして来ますので、
適当に討伐動機や、戦闘にかける意気込みをアピールしてください。
ある程度場の雰囲気が温まりだすと、○×クイズが始まります。
といっても○と×のどちらに入ればいいかがバレバレですので、
全力で移動するか、正解ゾーンにある椅子を破壊してください。
しかしながら面接官が全力で邪魔してくるので、注意してください。
正解に入っていても面接官に床を舐めさせられては意味がありません。
とくに面接官は正解ゾーンに入った直後を狙ってきますので、
椅子破壊役、邪魔役、保険役と役割を分担してかかりましょう。
そのための集団面接です。
自分だけのことを考える受験者はたいていふるいにかけられるか、
就職者ブラックリストに載せられてしまいます。」
『は、ハードですね…』
「ブラッ…常闇企業は伊達ではありませんから。
特に面接官の機嫌の悪い日はツバどころかガム吐いてきます」
『本当に大丈夫なんですか、この会社』
「不思議と受験者が多いんで商売繁盛してますよ…」
「そして特に危険なのが面接中盤以降。
突如圧迫面接に変わります」
『圧迫ですか…』
「ものすごい威圧をしてきて、受験者のやる気をなくさせます。
それでも就職したい者だけを求めているのです。
しかしいくら気を奮い立たせても
頻繁にやる気をなくしてくるので、過激さは業界でも評判です。
もっともDK社ほど理不尽ではないそうですが」
『でも、威圧だけならなんとかなるんじゃ』
「限られた面接時間20分で面接官を満足させないといけませんから。
メンタルケアは大事です。アピールもやる気があってこそ。
特に威圧とともに労働条件についてブラック気味なことを
クドクド合わせて言ってくるので、さらにやる気がそがれてしまいます。
中には面接中に暴れだす人もいるぐらいです。
もっともそれは後衛業務の怠慢だとか、
服装チェックにかかったとか、
そういうのが主な原因ですけどね」
『本当にハードなんですね』
『それで、これだけ厳しいのに交通費とかも全くでないんですよね…』
「最近交通ルートが開通して実質無料になりましたけどね。
強制参加の飲み会代だとか、試験中の飲料・食事代強制支払いとか、
参加条件が数万を支払うか田舎でトカゲ踏んでくるの2択だとか
結構お金かかりますね。それだけの覚悟が必要だということです
ですが、面接官の機嫌の悪い日に合格した人は、
箔がつくって業界じゃ評判ですよ。」
『それはそれでどうなんですかね…』
「ともかく、解説としては以上となります」
『ありがとうございました』
「あなたの合格報告をお待ちしております。ではまた」