シーンの冒険日誌

『よう』
「よう…こんな時間に珍しいじゃないか」
『そうか？』
「ラズバーンだって寝てる時間だ」
『しょっちゅう寝てるじゃないか…
　それに奴なら一分もあれば起きるだろ』
「じゃあ戦闘の夢でも見て興奮して起きたとか？」
『俺を何だと思ってやがる』



「それで、最近はどうなんだ？」
『そうだな…１０００万ゴールドほど募金した。
　なんだったかあの…シュノーケル？』
「スノーベルな」
『そう、そのスゲースベルだ』
「滑ってるのはお前のジョークだが。募金って正気か？」
『正気だが？』
「"打ち首ピース"に１０００万だぞ？」
『アレが欲しかったワケじゃあない。
　ほらよくあるだろ…企業が復興支援金出すとか』
「つまり、売名か」
『人聞きが悪いな』
「で、本当のところは？」
『称号がもらえると思ったら貰えなかった』
「なるほど。ついでに言うと売名行為もピースも
　初日で完遂されているからお前の出る幕はないぞ」
『どうせやるつもりもなかったからいいんだよ』
「腰抜けめ」



『金といえばだな…』
「どうした」
『預金した口座からクレジットカードを使うと
　５０％が返ってくる奇跡の雨預金というのがあってだな』
「預けた途端に破綻したとか言ってその業者が逃げたと」
『…なぜわかった』
「奇跡の雨は死んだら返ってこないだろう」
『そりゃそうだが説明では絶対に大丈夫だと』
「いやいや…明らかに詐欺じゃないか」
『じゃあミラクルもろば預金も危ないか？』
「さっさと解約してこい！」



『聖女保険がなかったら致命傷だった』
「一般的にそれは既に致命傷というんだが」
『とりあえず借金は背負わなくて済んだ。ありがとう』
「おう」
『じゃあこのまもの使いの口座とリンクする預金というのは』
「それはただの連帯保証人か何かだ」
『そうか…』



『最近頭がおかしくなりそうなんだが』
「安心しろ、すでにおかしい」
『安心するためにしている話なんだが？』
「どうぞ」
『スキルってあるじゃないか』
「あるな」
『なんですぐ忘れるんだ？』
「なんでも何も…ポイント振りなおしてるだろ？」
『そこだよ』
「そこ？」
『なぜポイント振りなおすと忘れるんだ？さっきまで使ってたじゃないか』
「そりゃそういうものだからだろう」
『いや…そんな俺物忘れ激しいほうじゃないからな。
　最近じゃ学園に行くと戦闘経験すら忘れんだぞ？どうなってんだ？』
「は？お前その年で学生やってんのか？」
『うるさい』
「まあなんだ…ちょっと体をｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮしてるからだよ」
『なに？』
「性転換出来るほどの体の変調がありゃ
　経験もぶっ飛ぶし慣れるのに時間かかるだろ？」
『ああ…そういう…じゃあ普段のスキルはどうなんだ？』
「お前、スキル覚えるのに何か修行したか？」
『したからポイント入ってるんじゃないか。特訓だってしてる』
「じゃあお前…例えば【キラキラポーン】使うために
　何か特別な修行をしたのか？」
『してないが』
「だからよ、身についてないものを強制的に定着させてるだけなんだよ」
『どういうこったい』
「だから歴史問題の暗記してるんじゃなくて、
　頭に歴史の教科書をぶち込んでるんだよ。物理的に」
『ちょっと怖いんだけど』
「しょーがないだろ。
　過去は覚えたら永久に定着してたけどあの宝珠と青い炎のせいでな…」
『いやいや、俺今日邪神行くんだけど！
　そんなこと言われると使いたくなくなるんだけど！』
「知るか、何べんも死んでるゾンビ野郎が
　今更そんなことでピーピーわめくんじゃねえ」
『鬱だ…帰って寝る』
「その状態異常は寝ても軽減するだけだからな？」
『うるせえよ…』


完