むかしむかし、あるところに、おじい「このイベントをスキップしますか?」
→はい
いいえ
ある日、ももたろうは言いました。
『現状で鬼退治は不可能です』
おじいさんはびっくりして尋ねます。
「ももたろうや、不可能とはどういうことじゃ。
いやべつに当てにしているわけでもないがのう」
話的に白々しいことを言うおじいさんですが、
とりあえずももたろうは説明をはじめました。
『まずこの村の立地条件が最悪です。
私は村攻略wikiを確認しました。
この村周辺の鬼のレベルは平均20。
しかしながらこの村の住民の平均レベルは7です。
訪れた流れ者に課題を丸投げするレベルの無能村です。
なぜこのような場所の村をつくったのですか。』
「知らんがな。
昔からこの村で生まれて育ったのだし、
そのレベル…かいな?それもよくわからんが、
わしらのような人が鬼に勝てるわけがなかろう」
『単純計算で倍以上の差をつけられているのだから、
勝てるわけがないんですよ。
それを埋めるために徒党を組んで戦うわけですが…
戦闘系の攻略ノウハウが全くと言っていいほどありません。
ちょっと遠い村のきんたろうという人が考案した
相撲バトルを使えば勝てなくもないんですが、
この村では壁の概念も知らなさそうなので難しいですね。
まず間違いなく各個撃破されて終わるでしょう。
怒りのコントロールとかも知らないでしょうし』
「いや鬼を怒らせちゃまずかろう」
『あのですね、彼らは大体イノシシみたいなものなのですよ。
怒りで敵を煽れば囮にしか目が向きませんから。
そこを他の人がブチ殺すのが一番効率的です。
まあ、それは私が練習すればいいのですが、
装備も不足していますね』
「ここにある刀じゃ駄目なのかの」
『えーっとこれ…両手剣カテゴリですよね?
鬼の能力において、特徴的なのが
痛恨の一撃とショック・転倒攻撃です。
盾が装備できないのだから痛恨の一撃だけはどうにもなりません。
大体私話の上では魔物使いですから両手剣は装備できますが…
まあ、実物として両手剣があるだけマシですから
その辺のスキルを上げるとしましょう。
しかし…ここランプもないのですよね。
どいつもこいつもランプって何?みたいな顔してるし。
耐性がつけられないじゃないですか。
仕方ないので装備だけは作ってもらいたいなと。』
「そ、そんなお金この村にはありゃせんぞ…」
『お金?そんなものは役に立ちませんよ。
とりあえずキラキラ拾ってきてください』
「は?」
『えーと…4人で組んで鬼に見つからないように
適当にモノを拾ってきてください。
この村無駄にアカウント多いから人海戦術できるでしょう?
何が拾えるかはなんとなく感覚でわかるはずですから。
この村畑で栽培してる人ばかりで職人いないから
廃職人適性のある人には職人もやってもらいますよ。
とりあえず練習用に何でも拾ってきてください。
不足しているものは拾ったものを他の町で売って使いましょう。
とにかく職人への素材提供と職人活動を途切れさせないように』
「そんなのみんな協力してくれるかのう」
『この村はつまりは一つのチーム…集まりですよね?
一丸となって鬼と戦わなくてどうするんですか?』
「いやわしらはそんなことせんでもずっとうまくやってきたし…
もうちょっとまったりできんもんかのう」
『これだから自称エンジョイ勢は困りますね。
鬼が弱くなるように広場で祈ってみますか?
これは遊びじゃないんです。戦争なんです。
大体ですね、私がこの世界にログインしたということは
サービスは10年続くはずなんです。
つまりこの鬼の襲来は予兆にすぎないんですよ。
10年はあなたたちを苦しめるイベントが発生するんですよ。
もっと先のことを見据えないでどうするんですか。
もっとチームに貢献をしましょう!』
ももたろうは熱心なプレイヤーでしたが、
押しが強くエンジョイまったり勢からは煙たがられるタイプでした。
しかし戦争ならばしかたありません。
チー…村の人々はしぶしぶ桃太郎に協力することになりました。
続く。