「ヌフフ…このままニの災壇へゴアンナイだ」
「そんな…休憩させろ、ギラム=サン!」
「時間のないお前らには願ったりだろう、ケンジャ=サン!」
HP、MPだけの問題ではない。通常、災壇は休憩を挟んで装備を変更、必要ならばパーティ構成を変えて挑むものである。しかしそれをさせないといっているのだ。しかもこの状態で全滅すればポイントは0になってしまうのだ。リスキーにも程がある。
「いいだろう」
「モンススレイヤー=サン!?」
「ヌフフ…どの道お前らに選択権はない」
「だが生き残ればポイントは支払って貰う!さっきのはぐれメタル二匹分は最後に加算しろ!」
「ナマイキな…しかしお前らに勝ち目はないぞ」
その瞬間、逃げ道が崩れ落ちる。
「バカな!ギラム=サン!!」
「生かして返さないと言ったぞ…万一30万稼いで逃げられては困るからなぁ」
「それで充分か?」
「なに?」
「それで全部か?ギラム=サン。二の災壇程度ならこのままコウリャクするぞ」
「アイエッ、モンススレイヤー=サン!?コロキチジャンプはヨクナイ!」
「どうした?お前は街の前でうっかり踏み潰されるのをびびって生きてるスライムベスか?」
「この…ヒロバヘッズがお絵かきするレベルのクレームをオレにぶつけようっていうのか!面白い!二、三災壇全軍総攻撃だ!やってしまえっ!!」
「総員、バッチリがんばれ!エルダー・ケンジャ=サン、しばらくアイテムを集めながら回復に専念しろ!いいね!」
「アッハイ」
かつてない量で殺到するモンスターに対し、
バギムーチョ20号で対抗するモンススレイヤー。しかし…
「ヌゥッ!?」
「ヌフフ…挑発するのはいいが場所には限界があるようだなぁ…『埋まった死体に足を取られているぞ』」
さしものモンススレイヤーもアシモトをオブジェクトに阻害されてはうまく回転できない!じょじょに回転が鈍ってくるモンススレイヤー。
(…『死体に足を取られる』だって…?)
見回すと確かに辺りにはモンスターの死体が散らばり、その死体を乗り越えてモンスターがさらに襲いかかってきている。このままでは遠からずモンススレイヤーは動きを止めてしまうだろう。
「エルダー・ケンジャ=サン!拾ったアイテムを全部こちらにばらまけ!」
「頭がおかしくなったかモンススレイ…ハッ!?この流れはッ!?」
「ギラム=サン、破れたり!」
エルダー・ケンジャは訳もわからず全アイテムをモンススレイヤーに投げつけた。
「Wasshoi!!!」
モンススレイヤーはばら撒かれた大量のビン目掛けてプレートインパクトをぶつけた!ガラスが四散し大量のポリゴン片となって飛び散る!
「その程度がなんだって…な、なんだ?モンスターどもの動きが鈍」
その時である。大量の魔物の処理に追いつけなくなったスゴイタクサンUnix計算機が、突如発生した大量のポリゴン片の負荷に耐えきれずついに爆発四散!
「ギョエーッ!!!」
爆発の余波でモンスターはUnix計算機のメモリ上から消滅、つまり死んだのだ…。スコアは当然加算され400000ポイントをたたき出し、エルダー・ケンジャは無事ノルマ達成を迎えたのであった。
「モンススレイヤー=サン…お世話になりました」
「マタドコカデ」
モンススレイヤーは軽く挨拶するとすぐにパーティを解散してしまった。彼は間違いなくチート野郎だったが、それはこの際どうでもよかった。エルダー・ケンジャの地位は守られたのだから。これからも週課は続くだろうが、次からはクソダサコーデだからと地雷判断するのはやめよう。そう思ったエルダー・ケンジャであった。
終