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天星の護りの手

アスカ

[アスカ]

キャラID
: FG906-006
種 族
: ウェディ
性 別
: 女
職 業
: 魔剣士
レベル
: 132

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アスカの冒険日誌

2020-06-06 20:41:16.0 テーマ:その他

あなたについていくと決めた日 〜その2〜

蒼天のソウラの共同二次創作になります。執筆者の
独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が苦手な方は
注意が必要です。それでも良い方は進んでください。

ー本編ー

その一方で
アスカとは別の理由で疎ましく思われている者がいた。

…ロスウィード・レヴォルト。

アスカの入隊よりも更に二年ほど前に軍属したこの“人間”の男。

異例の冒険者兼軍人として、女王から直々に厚遇を約束されたのを
いいことに、普段は何かと理由をつけてのらりくらりと
軍務をサボっているのだ。

しかしその半面、偶に任務に出れば確実に成果を挙げ、
結果として階級だけは順当に上がってゆく。

新兵から将軍まで、所属する者の大半が“ウェディ”を
占めているヴェリナード軍。

そこに降って湧いたような“人間”が次々と昇進を遂げる。
それは、軍の上層部において彼を快く思わない者を
生み出すのに、十分過ぎる理由だった。

そんな折、軍部に一つの依頼が舞い込んだ。

ウェナ諸島の辺境にある小さな漁村からの依頼なのだが、
内容は実に不穏なものだった。

曰く、村人や冒険者が消えた。曰く、海から現れた怪物や、
村に棲み付いた悪魔に食われた。これらについて至急調査、
解決して欲しいというものである。

軍人として成果を挙げることが出来ず、
所属する隊の者からも疎まれたアスカ。

突如軍に現れ、着々とその地位を
築き上げるロスウィード。

厄介払いをするには打って付けの依頼であると
踏んだ軍の上層部は、二人に白羽の矢を立て、
現地へと向かわせる事にしたのだった。



ヴェリナード城下にある船着き場。

旅人たちで賑わうその場所に、緊張した面持ちで
大荷物を背負うアスカの姿があった。

昨晩遅くに上官から言い渡された特命の任務。

話を受けた時は、どうして自分なんかに…と驚いたが、
島に…長年暮らした屋敷に帰る決心がついた今、
最後の任務くらいは成功させたいと張り切って
準備をして来たのだ。

「ところで… 一緒に行く方がいると聞きましたが、
それらしき人はいませんね…」

周囲を見回し、ひとり呟く。

城下と街道を繋ぐ連絡用の小船には多くの旅人たちが
ひっきりなしに乗り降りし、彼女の時間だけがただ過ぎてゆく。

ひょっとしたら見落としているのでは?

待ち合わせ場所を間違えてしまったのでは?そんな疑問が
沸き上がり、重い荷物を背負いながら付近をぐるっと
回ってみるが、やはりそれらしき人物はいない。

約束の時間から、既に半時は過ぎている。

これは流石に、一度登城して上官に確認するべきか。
…そう思ったその時。

「あっ…」

銀髪に、左目の眼帯。そして腰に下げた双剣。

上官から教えてもらった特徴と一致する男が、
眠たそうな眼を擦り、大きな口を開けて欠伸しながら
気怠そうに、船着き場へと続く階段を登って来た。

彼女はとても真面目だった。

だから… 確認より先に、挨拶より先にその言葉が出てしまった。
「何時だと思ってるんですか!? 大遅刻ですよ!」

欠伸をしたままきょとんとする男の格好を見て、
アスカの追撃は続く。
「それに何ですかそのラフな格好!? …ラフな、かっこ…う…?」

爪先から肩の辺りまでを順に睨み付け、
アスカの表情が凍り付いた。

軽装とは言え、この男が纏っているのは間違いなく
ヴェリナード軍支給の制式シャツ。そして、その胸元には
階級を示す徽章が。

「も、ももももももも申し訳ありませんでした!」

何事かと周囲の旅人たちが不思議そうに見守る中、
腰を直角に曲げたアスカが深く謝罪の意を示す。

「いや、私は気にしてないから、君もそんなに謝らないでくれ。
こっちまで恥ずかしくなってくる」

果たして本当に軍人なのかと疑いたくなる気の抜けた表情で、
眼帯の男――ロスウィードが両手をひらひらと振ってみせた。

「それよりも君が、今回の特別任務に同行する
アスカ=バンデ・ヒルフェ君 で間違いないかな?」

「は、はい! わ、わた…私…いえ、自分が
アスカ=バンデ・ヒルフェであります!」

「改めて…遅くなってすまなかったな。
私はロスウィード・レヴォルト大尉だ。今回はよろしく頼むよ」

頷いた後に差し出された右手。それを見てきょとんとすると、
ハッとして慌てて右手で握り返す。

「よ、よろしくお願いします!」

続く
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