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天星の護りの手

アスカ

[アスカ]

キャラID
: FG906-006
種 族
: ウェディ
性 別
: 女
職 業
: 魔剣士
レベル
: 132

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アスカの冒険日誌

2023-04-09 18:07:16.0 テーマ:その他

『とある太陰の外伝〜引き継がれる手綱〜(後編)』

※この物語は蒼天のソウラの二次創作です。今回のお話は
 筆者の独自の解釈や加筆があります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「子々孫々…まさか!」
ライセンは、ダイキリンの言葉に確信を持った。

「もしかして、イシュラース様がお乗りになっていたお馬の
子孫がこの時代まで!」

「そうだ。確かにもうこの世にはおらぬ…が、その子孫が
この時代に繋がり残っている」

そう話すと、ダイキリンは立ち上がり外へと歩いていく。

「さて、マリクよ…その姿、見に行くか?」



聖獣ダイキリンに導かれ、マリク達は父の愛馬の子孫が居る
平原へとやってきた。そこには自由に何十頭もの馬が風を切り
駆け抜けていた。

「おう、たくさん居るじゃねぇか。」

「これが全部、魔公王殿下のお馬様の子孫なんですか?」

ダイキリンはある方を向いて、何かを示す。その先には
体毛が黒い色に覆われた馬が数頭のグループを作って
歩いていた。

「あそこに居るのがそうじゃ」

「なんと…イシュラース様が駆っていた馬に似た
美しい体毛だ。」

観察をしつつ、マリク達はグループの近くまで
歩を進めていく。すると相手側からまるで出迎えるように
寄ってきた。

グループには最近、産まれたであろう子馬も紛れており
ライセンやシュナの周りを興味津々にぐるぐる回る。

しばらく戯れていると、マリクの元に一番大きく立派な
グループの長らしき馬が近くまで来た。

「どうした?…お前は、あっちに行かなくても良いのか?」

マリクが問い、その体に触れた瞬間…突然、紋様”ライン”が発現する!

「なんだ!?」

今、ここには力”ライン”を与えてくれる姫”アズリア”が
近くには居ない。場所を選ばずに発動出来た今までとは違う。
起こった事象に対して、マリクが分析を行っていると・・・・・


ーーーーーーー待っていました。あなたを


「誰だ?」
不思議な声がマリクの頭の中で響く。


ーーーーーーー私です。今、目の前にいます。


そう言われ、マリクはいま手で触れている
長の馬を見ると自分を優しく見つめていた。


ーー魔公王イシュラース様のご子息”イシュマリク”様
私たちは500年間…あなた方が暗い海の底から復活するのを
待っていました

「お前たちは本当に父上と共に駆けていた愛馬の
子孫なのか?」


ーーはい。我らが父祖よりご子息様のお力になれるよう
その血統と使命を代々継承して参りました。長い時…
苦難があっても、父祖の想いが今この時まで途切れないように


「そうか……随分と長く待たせてしまったようだ…。」


ーーようやく私達の使命が果たせます。どうか
この大地を…かつて父祖が駆けたと言う魔界の大地を
あなたと共に駆けさせて下さい。


「うむ…これからよろしく頼むぞ。」


ーー感謝します。ありがとうございますイシュマリク様。


そう最後に伝わると、マリクのラインは光を弱くし
やがて元に戻った。

「若様!大丈夫ですか!?」

シュナが駆け寄ってきた。マリクが周りを見渡すと
どうやらラインの発動を全員が見ていたようで、
驚きの表情を浮かべていた。

「この場に姫様がいらっしゃらないのに…なぜ急に」

「分からぬ。だがすべきことはある。ゴオウ、鞍と手綱は
持ってきていたな?」

「ちゃんとこちらに来る際に準備しておきましたぜ」

そういって荷物の中から、馬具を取り出した。それを見た
長の馬は、自らの意志でゴオウの元に歩いていった。

「おいおい、まだ何も言ってないぞ?」

「大丈夫だ。そのままつけてやってくれ。」

そうマリクが言うと、ゴオウは馬具を取り付ける。
装備している間、長の馬は一切暴れる事がなかった。

「よし。これでバッチリだ。若様、どうぞ」

馬具を付け終わった馬に、マリクはまたがり三人の方に向く

「おお。若様…騎乗するその姿…お父上と同じく立派ですぞ」

「今のそのお姿、イシュラース様にも見せたかったな…」

当時の主の姿をマリクに重ねる二人。マリクはその様子を
見て、ほんの少し笑みを浮かべると

「あぁ…この父上の愛馬、確かに譲り受けた。魔界へのレコンギスタ計画の際
共に連れて行く。無論一頭だけを連れて帰らない…この場の全頭を連れ、
我らが故郷へ帰還するぞ!」

そう宣言すると、マリクは手綱を操り、行き先を示す。
馬もそれに従い前へ進んでいく。そしてグループの馬たちも
その後をついていった。

500年という時の歳月は残酷で、何もかもを消し去ってしまう。
だが、決して消える事の無い父”イシュラース”と子”イシュマリク”の絆が
確かに此処にあり今、その手綱は引き継がれていったのだ。

〜終わり〜
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