※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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最前線の港地区から離れた島主の住まう屋敷に
直結した大広場。そこへリルカが避難住民たちと
共に駆け上がってきた。
「ここまで来れば、屋敷まではあと少しだ!
焦らずに行くんだ!」
「リルカお嬢様ー!」「お姉ちゃん!」
屋敷の方からアスカとユウナが降りてきていた。
「状況はどうですか?」
「まだ敵は来てないけど、防衛ラインはもうちょっとで
形成し終わる所だと思う。」
「分かりました。リルカお嬢様、住民の避難誘導は私が
引き継ぎますので、アスカお嬢様と一緒に前線に戻って下さい」
ユウナは、住民を連れてそのまま屋敷へととんぼ返りして
行った。アスカはリルカに駆け寄ると、ポーチから二対のピアスを
差し出した。
「お姉ちゃんこれ、どうぞ♪マイカがついに完成させたんだよ!」
「おお!これか…!じゃあ早速…」
「着けたら、語りかけるように念じると
マイカと”連絡が取れる”みたい」
リルカはアスカからピアスを貰い、自分の両耳へそれぞれ着けた。
そして二人は念じると、
《やほー♪無事に届けれたんだね!》
マイカの声が頭の中に、クリアに伝わる。それは
グランドタイタス号の時とは違ったもので、まるで
その場で三人が話してるかのようだった。
《どうやら…前のような、変な感じにはなってないようね》
《リンドウ先生やお養母さんに、たくさん応援して貰らえたのに
これで失敗しちゃったら、もう”魔法使い”引退だよ…》
《まぁ良い。さて、この通信は…どこまで届くんだ?》
《少なくともこの”バンデクス島”内は問題なく通信できるはずだよ》
《それじゃあ私たち三人の間での、情報交換は重要だね》
《あと…まだアスカお姉ちゃんにも説明できてないんだけど、
このピアスには、通信以外にも機能が…》
ドゴーンッ!!と、突然大きな爆音が鳴り響いた。
《なに…!?今の!》
《こっちから見えるよ!港の方、たぶんユウナさんを襲った
魔物の軍団が最前線に到達しちゃったんだ…!》
《早く前線に向かった方が良いね》
《今いる大広場への直接の道は、しっかりと塞いである。
だから遠回りの左右の道からあたしとアスカが、二手に分かれて
押し戻していくぞ!》
思念による通信を終えたアスカとリルカは、脇目を振らずに
分かれて走り出していった。
《もう一つ、伝えなきゃいけない事あった。お養母さんに繋ぐね》
《聞こえているかしら、二人共。》
二人の脳内にマーテの声が響く。
《お養母さん!?》
《返事は良いわ…今は集中して聞いて。今、私たちのお家…
”バンデ・ヒルフェ邸”に結界を張りました。これはヴェリナード軍でも
使われているものよ。…ただ設備自体が古いもので、現行のものより
防御力が高く無いわ。だからあくまで”最後の保険”と捉えて頂戴。そして
貴女たちのお養父さん…いえ”島主代行”として言います》
《このバンデクス島の平和を守って…!》
そう言うと声は聞こえなくなった。
《アスカ!…行くぞ!島の平和はあたし達が守るぞッ!》
《うんッ!リルカお姉ちゃんも気をつけて!》
《大広場周辺に来た敵は、私の呪文で止めるから
前線任せたよ!》
こうして三人の少女達の故郷を守る戦いが本格的に
始まっていくのだった。
◯
ーバンデクス島・港ー
「小さな島だけど、意外と悪くないねぇ」
悪魔のような笑みを浮かべて、フィアは言う。
その足元には、自分たちの進軍を阻もうと置かれていた
防護柵の残骸だった。
既に彼女たちの眼前では、手下の魔物たちと戦闘を繰り広げている
島の自警団とヴェリナード軍の駐留隊が居た。
「ウチの子たちと戦ってるのが、ここの住民かしら?」
「だけど、少しずつだけど押してるな」
「では、このままわたしく達がここの住民を全員…
島から追い出せば此処が手に入りますね。姉さま」
「フフ…そうね。それに島の重要そうな拠点を吹き飛ばせば
なお良いわね♪」
フィアが周りを観察していると、港よりも高い位置にある
屋敷があり、そこが結界のようなものに覆われているのが
見てとれた。
「あそこ…重要施設っぽいわね。…アンタ達!目標はこの上の
結界に守られた”屋敷”よ!行きなさい!」
フィアの一言で、芳墨の華烈兵団の手下の面々は
港から防護柵を破壊しながら、屋敷へ進軍を開始した。
「ドーター、アタシ達も分かれて攻めるよ。姉さんはどうする?」
「私は、少し様子を見るわ。アンタ達二人でも大丈夫なら
動く必要ないからね」
「それじゃあリライザ姉さん…参りましょうか」
〜続く〜