※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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リランザは、自分に向かって飛んできた木箱をムチを
振るい軽々と粉砕した!
その瞬間…粉砕した木箱の中から白い粉の様な物が
彼女に覆いかぶさる様にドバッ!と大量に降りかかった。
「な…何よこれッ!」
瞬く間にリランザは白い煙に包まれてしまった。
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一方、木箱に飛ばされたエミカはケホケホと咳を
しながら、目を開き柔らかいものの存在を確認しようと
振り返ると自身の下にリルカが居た。
「え、エミカさん…大丈夫ですか?」
「……お、お前が受け止めてくれたのか…無事でよか…イタタ」
「動かないで、呪文で回復を今するので…」
「いや、意味が無い…。……これは右肩がたぶん…
外れてる。それよりアイツが来るぞ」
そう言って、エミカは自分の右肩を力の入らない
左手を添えて強引に戻そうとする。
「それなら大丈夫です。さっき麻袋が大量に入ってる
木箱を投げ込んで、あいつがそれを割ってくれた
ので、今はたぶん……」
リルカの憶測は大当たりし、リランザは全身が
粉まみれになっており、粉を吸ったのか咳を何度も
していたのだった。
「……けほけほ!!…こ、これ!”小麦粉”じゃない…!
…ぐぅぅぅ!服も髪も粉まみれッ!!あんた達…よくもやって
くれたわね!?どこだぁぁ!早く出てこいッ!!」
ムチを激しく打つ音と共にリランザの怒号が大声で聞こえてきた。
しかし大量の小麦粉を撒き散らされた事で、辺りは
真っ白になっており、リランザは二人の位置を完全に
見失っていた。
さらに二人が投げ込まれた木箱の山は、崩れ方が
奇跡的な塩梅で、小さな要塞の様になっており、
その出来上がった安全地帯にリルカとエミカは
身を潜めている形になっていた。
「………どうやら”奇跡的”に、時間稼ぎが出来てる様だが…
そう長くは無いか…」
エミカは周りの木箱の状態を見て、改めて状況を俯瞰し
考察を始めた。現状は、広場に居た戦力は自分たちを除いて
壊滅状態。
リルカはリランザの攻撃を受け続けていた為、そこら中が
傷だらけになっていて、エミカ自身は右肩が外れ、左腕も
満足には使う事が出来ない状態で戦えるとは言えないと
絶望的だった。
そう思い至った時、エミカはリルカの方に向き直り
「リルカ…今からお前に完全回復”ベホマ”をかける。だが
これを使うとたぶんアタイは体力限界で気絶するから抱えて逃げ…」
《☆》
ドカーンッ!!
「うぐあああッ!」
激しい爆発と共に、アスカは吹き飛ばされる!彼女の体は
後ろにあった石造りの壁に叩きつけられた!
そのまま力なくズルズルと、すり落ちる様に地面に
倒れる。それを見つめながら、ドーターは恍惚な表情を
浮かべる。
自分を倒そうと果敢に挑んできたアスカが、
弱っていく様を楽しんでいた。
「クフフ…貴女がキズついて苦しむ姿を見るのは
とても楽しいわぁ」
「……うぅ…趣味が、悪いわ…。」
アスカは、力を振り絞り両手をついて立ち上がろうとする。
その姿を見て、ドーターは何かを思案する様に、アスカの
状態を品定めする様に見る。
「…あら、まだ抗うの〜頑張りやさんねぇ」
そう言った時、アスカはヨロヨロしながらもなんとか
立ち上がる事に成功した。
「……でも、今のボロボロになった貴女から”生命力”を
取っても…美味しくないから…」
「何を……言って?」
ドーターの髪の毛が怪しく動き出し、再び鋭い刃と化した!
その凶刃は、アスカに狙いを定めて向けられた。
「……!」
刃が向けられた時、アスカは一番考えてはいけない
予感を真っ先に考えてしまった。
それは…ヴェリナード軍に所属し、日々任務に出向し
活動する事を生業としている以上、いつか必ず訪れるもの。
そう彼女に覚悟はあった。
しかしそれは”何かが果たされる確信がある事”が前提で、
何よりも人々を、仲間を、故郷の島も…まだ何も守り切れて
いない自分がここで果ててしまうが許せない!
ーーー動け!
そう思っても、剣を握る事を諦められなくても
振るう力は残っていない。
ーーー動いて!
そう思っても、盾を構えるだけの体力は無い
もう”体が言う事を聞いてくれない”。
ーーー私は…もうここまでなの?
ーーーお養母さん、リーザ師匠、リルカお姉ちゃん
マイカ
ーーーそして…ロスウィード、みんなごめんね…。
アスカは、そう思い…目を閉じる。
「……………”終わり”ね」
と言った直後…ドーターの放つ凶刃は彼女を亡き者に
せんと素早く真っ直ぐ向かっていった!!
〜続く〜