※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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「ドカン…タロスゥゥ!!!」
マイカの渾身の叫びとともに巨大な岩の塊が
フィアに叩きつけられた!悲鳴を上げながら成す術なく
受けた彼女は、そのまま地面へ一緒に落ち、その塊に
押しつぶされ、凄まじい炸裂音を大広場に響かせた。
その音にマーテやその指揮で動く兵士たち、
フィアの兵団の魔物たちも戦う手を止めた。
特に魔物たちからは、大将が討ち取られてしまったのか?
と言う不安の声が聞こえ始めていた。
「マイカお嬢様…!敵の大将を…た、倒したのですか!?」
ユウナが一言呟いた時、兵士たちから少しずつ歓喜の声が
上がり始める。しかしマーテは、何か不安があるのか
打ち込まれた巨岩の方を見ながら、怪訝な表情を浮かべていた。
一方でマイカは、呪文を一気に畳み掛けるように撃ちすぎた影響か
肩を上下に大きく揺らしながら、乱れた呼吸を整えていた。
(ちょっと連続で撃つの…早すぎたかな…。)
そう振り返っていると、呼吸が整ってきたのか周りの状況を
感じ取れる様になり、見渡すと兵士たちの歓喜の声が、
そして魔物たちの視線が、自分が先程落とした巨岩に注がれている事を
把握し、マイカはマーテが居るであろう屋敷の方を向き
「お養母さん…やっ…!!」
「ーーーー私がこれで”倒せた”と思った?」
突如、フィアの声が背後から聞こえた。その言葉にマイカの動き、
兵士たちの歓喜の声はピタリと止まり、緊張が広がった。
そして背後に、先ほどとは比べ物にならない程の強い魔力が刺すように伝わり、
マイカが再び巨岩の方を見ると地面の方から、乾いた音を立てながら
巨岩にヒビが入り、それが枝分かれし上の方へどんどん伸びていき、
最後には大きな音を立てて崩壊していった。
岩が落ちる衝撃が巻き起こす風と砂煙が巻き上がり、それが中央から
大きく広がっていく。そんな中、煙を突き破る様に2発の巨大な火球が、
飛び出し、大広場と別の広場を繋ぐ2つの道の周辺を破壊し、崩れた
家屋の瓦礫が塞いでしまった。
「しまった…道が!」
「これじゃあ、どこにもいけないじゃないか!」
矢継ぎ早に起こる事に、兵士たちから次々と不安の声が上がっていく。
そして巨岩のあった前に立つマイカは、晴れゆく煙の中央に立つ影を
見て、驚愕した。
「そ…そんなッ!?」
「ザァンネンでしたぁ〜♪あんなので、私を倒そうなんて
計算が甘かったわね〜♪」
そう言い放つ姿は砂煙に汚れ、ドガンタロスの一撃でボロボロには
なっているが些細な事と思っているのか、フィアは意を介さず
高笑いをしていた。
「あ、あんなの?…いや、十分手応えはあったはずよ…!」
「そうね…確かに”途中まで”は、堪えていたわ…。
とんでもない威力でこっちも負けるかとも思ったわ。
……でも、”最後”のはスカスカだったわ〜ァ♪もしかして…
もっと愉しみたくて…手を抜いてくれたのかしら?」
フィアの侮辱する様な言葉に、マイカがどういう事か考えた時
突然、薄く光っていた目が元の状態に戻ると、体中にビリビリ!と
凄まじい痛みが駆け巡った!!
あまりの激痛に、マイカは悲鳴を上げた…!
(ウグッ!?…何これ!……頭が…全身が痛いッ!…これって、もしかして…!)
急にその場にうずくまるマイカの姿を見て、フィアは自身の優位を
確信したのか怪しく笑みを浮かべる。
さらに火球を2つ作り、先程破壊した道の周辺の建物を破壊し、
もはや誰も広場に入れない様に入念に瓦礫の山を高くしていく。
「う…うぅ…!」
マイカはフィアのやっている事を止めようと、手に魔力を集めようと
するが、さっき放った火の玉よりも小さなものしか作り出せず、
それすらも直ぐ様霧散してしまう。
「どうしたのかしら〜?さっきの勢いはどこにいったのかな?」
(こ…この魔物…わ、私が動けないと…分かった上で…わざと…!)
後方ではマーテが中央の戦況を見て、中央以外の前線に散っていた
ハルクとプリストに語りかけていた。
《お二人共…!どちらかで構いません…!マイカちゃんの支援に
入れませんか?》
《申し訳ありませぬ…!こやつら、大将が戻ったと分かった
途端に勢いづいて…!》
《今、私かハルク様が離れてしまうと…前線が崩壊してしまいます…!》
と、悲痛な知らせが届いてしまいマーテの表情が険しくなる。
「さぁて…妹たちはどうしたのかな?一向にこっちに来ないけど…もう
こっちに”呼んじゃおうか”♪」
フィアが指を鳴らすと、その背後から重々しい金属の音色が繰り返し
鳴り響かせながら、ドクロの装飾が施された2つの大鐘が出現した…!
〜続く〜