※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
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(これは…想像以上に…!!)
《マーテ様!大丈夫ですか?!》
ハルクから声が届く。体が少し重くなるのを感じつつ、
マーテは思考を巡らせる。
(このまま…前線をハルクさんとプリストさんに任せ…いえ
結界装置が魔力を吸う速度が早いですわ…。このまま召喚を
維持してしまったら、わたくしの魔力が早々に枯渇してしまい…
万事休す…!)
自身の状態、腕を介して直結している装置が吸収する魔力の量
戦況などを加味し、マーテは決断した。
《ハルクさん、プリストさん。聞こえていますか?…一度
お二人を戻します》
《マーテ様!?…そんな事しては、前線が…!》
《今より先、お二人を召喚し続ける魔力の余裕がありません。
結界を維持しなければ、こちらの負け…。もうここまで来ては、
全力で防衛する他ありません。…それにわたしくは”信じています”。
必ずヴェリナードより、援護が来ると…!どうかお願いします!》
マーテの言葉を聞き、下で兵士たちを支えているハルクと
プリストは、口を閉ざしてしまったが
《……分かり申した。主の意に沿うのも我らの務め、プリスト
断腸の思いに駆られるが、我らは一度戻るぞ…!》
《…はい、ハルク様。しかしマーテ様、忘れないで下さい…》
《我らは、いつでも貴女様と共にある事を…!》
そうやり取りをすると、戦っていた二人は立ち止まると
周りにいた兵士たちに声をかける。
「皆のもの…!すまぬ!我々は、一旦ここまでだ…!マーテ様に
少しでも魔力に余裕をもたせる為に、戻らせてもらう。だが
安心するのだ。まだ我が主は諦めてはいない!」
「ええ!希望は潰えてはいません!どうか最後まで、私たちが
忠義を捧げているマーテ様を、信じて戦って下さい!」
そうを激励を送ると、体が光に覆われ粒子状となり
屋上で、結界を維持するマーテの元へと還っていった。
(二人とも…ありがとう。これで時間を稼ぐ事は出来る…!
けれど…マイカちゃん…貴女も早く…屋敷へ逃げてきて!)
◯
そうマーテが思う中、マイカはリランザに立ち塞がれ、救援に行く事も
出来ず、さらに”真・魔力かくせい”によって大幅に削ってしまった
魔力の回復も満足に出来ないまま、攻撃を必死の体でかわしていた。
「どうしたのかなァ〜?…さっきまで貴女、フィア姉さんと戦っていたんでしょ?
その威勢は何処へ言ったのかな?」
「うぅ…!ここよッ!」
マイカは、左手に握っていた”ブレイズ・ボム”をリランザに向かって投げつける!
「ふ〜ん、そんな小細工が効くと思ってるの?」
投げ込まれたものに対して、ムチを合わせて、リランザは余裕の表情を浮かべながら
上へ弾いた!少しの間の後に、ボムは上空で役割を終える様にボンッ!と爆発する。
その光景にマイカは悔しさを声に滲ませ漏らす。
(さっきから、攻撃が緩い…!まだこっちの魔力が戻ってない事を
分かった上で、遊んでいるんだわ!)
そう思いながら、マイカは腰のポーチに手を入れ、前に意識は外さない様に
手先の感覚で残りの”ブレイズ・ボム”の数を数えた。
(残り…3つ…!こんな事想定してなかったから、数がもう無い…!)
マイカが心の中で落胆した瞬間、前に向けていた意識が抜ける。
リランザはほんの僅かな隙にムチを振り上げ、
「そこだ!!」
ムチを真っ直ぐ打ち出した!リランザの声に、マイカもギリギリ反応し
鎌の柄で受け止めようと構えるが、ムチはその鎌を絡め取る。
「その鎌…!もらったよッ!」
リランザが嬉しそうな声を上げながら、強くムチを引き、マイカの手から
鎌を奪い取ってしまう!
(そうは…行かないよッ…!)
マイカが咄嗟に念じると、絡め取られ奪い取られた鎌が光に包まれると
弾けて粒子状に変わり、そのまま持ち主の元に返り、形を変えて
6枚の羽付きの杖へと姿を変えた。
「ふん…!貴女もやるじゃない〜♪私に膝をつかせたアイツ
”リルカ”といい勝負じゃないの」
「……私は…私たちは負けられ…ないのよ!」
(ここで少しでも時間を稼いで、魔力を回復しないと…!)
マイカが息を切らせながら、リランザの言葉に返すと
「アーーハハッ!いいわねぇ〜♪その威勢!……けど、お前たちは
もう終わりよ…!」
そうリランザは冷淡に言うと、上空を指さした。マイカもそちらに目を
向けると、呪文を打ち終わったフィアとドーターがおり、結界の光が
戻ったタイミングだった。
(何が…起こるの…!)
マイカが思った時、上空に浮かぶ魔物たちが結界に向けて
攻撃呪文を撃ち出した!そして攻撃を防いだその瞬間…
マーテに落雷が落ちたかの様な閃光が襲った!
〜続く〜