※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
ーーーーーーーーー
(お姉ちゃん…!誰か…助けてッ!)
「フィア姉さんを手こずらせた貴女は…ココでッ!」
マイカが心の中で助けを求めて叫ぶ。リランザはムチを
振り上げ、天を仰ぐ彼女にとどめを刺そうとした時
「弓矢隊…!放てぇ!!」
凛々しくも力強い声が、戦場に轟く!…同時に、
呪文を放とうとするフィア、ムチを振り上げていたリランザなど
屋敷を襲っている魔物たちに向け、矢が雨のように降り注ぐ!
「フィア姉さま、危ない!」
ドーターは、容赦なく降り注いで来る矢を攻撃呪文を
駆使して撃ち落としていく。突然の事に、フィアは焦りを見せ
「何…?いったい何なの…!?」
矢が飛んできた方を向くと、家の屋根の上の各所に広く
小隊規模の弓兵が展開されており、それを束ねる
”赤服に羽根の装飾があしらわれた帽子を被るウェディ”が居た。
「牽制…成功です!ユナティ殿、次の指示を!」
「島の兵士、後続の進軍を援護支援をする!…弓矢隊!第2射構え!」
ユナティの指示が飛ぶ。再び、複数本の矢を取り出し弦を引き絞る兵たち。
「援軍!?……そんな!この遠方の小島にどうやって来れるのよ!?」
援軍の姿を望遠鏡を使い、確認した兵士が叫ぶ。
「……あれは、魔法戦士団の”ユナティ副団長”とヴェリナード軍!!
ついに援軍が来てくれたぞ!!」
「…耐えた苦労が報われる…!皆さん、諦めずに最後まで行きましょう!!」
ユウナの言葉を筆頭に情報がすぐ様、最終防衛ラインを
死守する者たち全体に伝播し、歓喜の声が上がった。
再びユナティの号令で、弓矢隊から無数の矢が魔物たちの
頭上に降り注ぐ!攻撃呪文の準備中で動けないフィアは苛立ちを見せ、
「もぅーー!!…アンタ達!あの矢を何発も打ってくる奴らを
片付けてきなさい!」
魔物たちの攻撃の矛先が、ユナティ率いる弓矢隊へと変わった
「…注意がこっちに集まったか…!」
ユナティは特段焦りもせずに、左耳に事前に着けていた
インカムに触れると、
《ロスウィード大佐、敵軍の流れがこっちへ向いた。
対処をお願いします…!》
そう告げると、ジジッと小さなノイズ音の後に声が届く。
《…了解だ。手筈通り、こちらで敵をしばらく請け負う。そちらは
島の駐留軍とのコンタクト及び、現地の指揮系統の再構築を
最優先に頼む…!リンドウ殿たちにも屋敷へ向かってもらう!》
そうお互いの情報と行動を共有していると、同じノイズ音を
挟み、2人のインカムに別の声が挟まる。
《ユナティ副団長、ロスウィード大佐。情報は逐一
本部でも収集している。既に届いた報せによると、島の戦況は
かなり切迫している様だ。今、それを直接目の当たりに
しているキミ達が一番分かっているかもしれないが、どうか
皆、無事に帰ってくる事を期待しているぞ…!》
総帥Mからの激励の言葉で締められると、再びユナティは弓矢隊に
指示を飛ばし、自身の隊に向かう魔物の軍勢に矢を降らせる。
雨の様にフィアたちの頭上に降ってくる矢。攻撃を受けてびっくりして
逃げ惑う小さな魔物いれば、盾を持つ生き残りは、盾を正面に据えて
矢を防ぐなど、戦場がより混沌と化していく。
そんな中で、リランザは弓を避けながらその場から動けず
矢が飛んでくる方向に、少ない魔力を振り絞り、
氷の壁を建てるのに精一杯なマイカを見据え
「倒れかけの”エモノ”を逃すものか…!アンタだけでも
アタシが持って行く…!!」
と、ムチを力強く地面に二回打ち鳴らすと、赤と青の半透明の竜が
リランザの周りから飛び出し、マイカに向かって突進していく!
(……!……今、弓を防ぐ為の壁を出すのにギリギリなのに、
避けれる訳が…!どうし………!!)
走馬灯の様に思考が逡巡した時、彼女の体は突然、バッ!と別の方向へ強く
引かれ、そのまま連れて行かれた。二体の双竜は、斜め左にギリギリに
ズレていき、元いた場所に置かれた氷の壁を食い破る様に砕きながら
抜けていった。
動く力がほとんど残されていなかった自分が、違う位置に移動した事を
認識したと同時に自分を助けてくれた相手が視界に入り、驚き混じりに声が出る。
「ロ、ロスウィード大佐…!?」
「間一髪…間に合った様だな!」
目の前に敵がいる事もあってか、マイカの方に視線は向いていないが
その声は優しいものだった。リランザは、もう少しで仕留められた
エモノを再び逃した事で、怒りのあまりにムチを両手で力強く握りしめている。
「ま…たッ!邪魔が入ったッ!」
「残念だが…この子はウチの副官の”大切な家族”だ。
これ以上、好き勝手にはさせられない…!」
〜続く〜