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孤独の闇芸人

ホーリン

[ホーリン]

キャラID
: TG682-832
種 族
: エルフ
性 別
: 男
職 業
: 旅芸人
レベル
: 111

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ホーリンの冒険日誌

2017-04-26 21:57:06.0 2017-04-26 21:59:26.0テーマ:シナリオ・クエスト攻略

伝説の旅芸人への道2017 闇芸人・決戦編 ~第13章~


「ここは……」

 僕はまた、この色あせた空間にいた。
 ゲイザーのリレミトによって、ニセモノの世界から引き戻されたのだ。

「でも……これからどうすればいいんだ?」

『フォッフォッフォ……。
 どうやら、あなたは闇芸人になれなかったようですね』

「“闇芸人の根源”っ!?」

 世代を超えて蓄積された、旅芸人への絶望。
 こいつを倒せば、僕は元のアストルティアに戻れる……!

『無駄ですよ。私は肉体のくびきから解放された存在……。
 思念体である私をどうやって消滅させるつもりです?』

「それは……」

『あなたはゲイザーと同じ。
 闇芸人になることを拒んだが、旅芸人への絶望を忘れられない。
 そんな半端者が、幾万人の絶望に抗えるものですか』

「くっ……!」

『今度は、闇芸人ではなく、
 外道使い――“悪魔道化師”になる世界へと導いて差し上げましょう。
 さあ、全てを忘れて悪夢の中でまどろむのです……』

「ダメだ、眠く……ああ……」

「って、なんでやねーーーーん!!」


 スッパーーーーン!!

 鮮やかなツッコミに張り倒され、僕は床に転がる。

「ゲッ、ゲイザー!? どうしてここに!」

「リレミトゲートはパーティ全員が使えるだろう?
 心配になってオレも来てみたわけだ」

「いや、ここは……あっちの世界じゃないだろ!?」

「ここは、アストルティアとあっちの世界の間にあるんだろうな。
 オレもギリギリ存在できるらしい。
 それでホーリン。目は覚めたか?」

「あ、ああ……」

『どうやら、私の邪魔をしてくれたようですね。
 半端者の、さらにニセモノの分際で……』

「なあ、闇芸人の根源とやら。
 ちょっとだけオレに、こいつと話す時間をくれないか?
 なあに、オレはすぐに戻るさ。
 あんたを倒す方法を、こいつに教えたら、な」

『ほう、私を倒す……?
 面白い。半端者風情が……
 そこまで言うなら、少しだけ時間を差し上げましょう』

「恩に着るぜ。さて……」

 ゲイザーは腕を組みながら言った。


「いいか、ホーリン。
 たしかにオレは……。
 いや、オレの元になった悪魔道化師ゲイザーは、中途半端なヤツだった。
 最後は魔物ではなく、人間に戻り……光になって消えた。
 魔物のように魔障に還るのではなく、
 人間のように骸を残すこともなく、な」

「ああ、そうだったな……」

「そのゲイザーの思念の一部が吸い上げられ、
 ニセモノの世界で具現化した。
 分かるかホーリンよ。
 闇芸人の根源が吸い上げるのは、旅芸人への絶望だけじゃない。
 希望もまた、吸い上げるのだ。
 だから旅芸人としてのオレや、ポルファン師匠も存在できたんだ」


「た、たしかに……」

 闇芸人を生み出すために作られた世界に、
 それを止める存在がいたのはおかしい……。

「絶望に打ち勝つ、旅芸人の光があれば。
 ヤツを倒す……いいや、
 希望の光で照らすことができる。
 何千何万の絶望を、お前が晴らすんだ」

「でも、そんなの僕一人でできるのか……?」

「お前はポルファン師匠の弟子だろう?
 師匠は、アストルティアで一番多くの旅芸人を弟子に持つ人だ。
 お前と同じように、師匠の教えを受けた何千……、
 いや何万人もの旅芸人の仲間がいる。
 自分を信じなくてもいい。
 師匠を信じろ。旅芸人の仲間を信じろ!」

「師匠を……仲間を……」

『フォッフォッフォ……そんな言葉遊びで、
 私を倒すことができるというのですか?
 そろそろ去りなさい、ゲイザー。
 でなければ消し飛ばして差し上げますよ?』

「ああ、分かっているさ。
 伝えるべきことは全て伝えた」


「それじゃ、オレは行くぜ、ホーリン」

「ゲイザー……」

 帰り道なのだろう、階段に足を踏み出す。

「そうだ、弟弟子よ。
 最後に一つだけ、教えてくれ」

「……なんだ?」

「さっきのオレのツッコミ、どうだった?」

「…………。
 最高だった。最高のツッコミだったよ!」

「オレは、芸で……お前を救えたか?」

「ああ。もちろんだよ……」

「そうか。ははっ、今さらだけどな。
 それが聞けてよかった。
 じゃあな弟弟子よ。今度こそ、さよならだ」

「ゲイザー……兄さん……!」

「誰が兄さんやねーーーん!!」

 スパンッ!
 どこからともなくツッコミが飛んできた。

 次の瞬間、ゲイザーは今度こそ……消えていた。

『フォッフォッフォ。
 旅芸人の希望?
 そんなものがあるはずがない……。
 あるのなら、私もぜひ見たいものですよ』

「あるさ。必ず――見つけてみせる……!」

 今まで出せなかった答え。
 命をかけた旅芸人の証明を、今度こそ……!


(第14章に続く)

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