いつもイロハ水族館をご愛顧いただきありがとうございます。
イロハ水族館では現在、辰年にちなんで、龍をイメージさせる魚たちを展示する企画展〜龍の水を得る如し〜を開催中です。
https://hiroba.dqx.jp/sc/diary/572955635530/view/7688822/
本日は企画展で展示している魚のうち、「タツノオトシゴ」の面白い生態についてご紹介します。
○そもそも何の仲間?
ゴツゴツした表面、直立する身体、長く伸びた口、絡みつく長い尾……見るからに不思議なこの生き物、何の仲間なんでしょう?
エビ?イカ?貝?
いいえ、タツノオトシゴはれっきとした魚の仲間です!!
トゲウオ目ヨウジウオ科タツノオトシゴ属に属する海水魚です。(ちなみに白身魚です。)
魚なので、エラもヒレもちゃんとあります。ただし、尾ヒレはありません。
○基本情報
・熱帯から温帯の浅い海に生息します。
・泳ぎは非常に遅いですが、海藻やサンゴ礁など周囲の環境に擬態して、身を守ります。
・全長は種によって1.4cmのものから35cmのものまで様々です。
・全身は鱗が変化した硬い甲板に覆われています。
○タツノオトシゴはウマだった!?
様々な別名があり、海馬(ウミウマ、カイバ)、馬の顔、龍宮の馬などと呼ばれます。
中国名も海馬。
英語名もシーホース。
学名Hippocampusも、語源はギリシャ語で馬+海の怪物となっています。
多くの文化で「馬に似ている」とされているのですね!
○動きは遅いが、狩りのプロ?!
口は前方に伸びていて、これを吻(ふん)と言います。
食事に関しては獰猛・肉食性で、魚卵、小魚、小型の甲殻類、プランクトンなどを捕食します。
ゆっくり、口を獲物に近づけて……一気に吸い込みます!!本当に一瞬の出来事です!
タツノオトシゴの狩りの成功率はなんと約90%!虎が約7.5%、ライオンが約18%と言われているので、いかに高いのかわかります。
○オスが出産する!?【1番のトピック】
タツノオトシゴの最大の特徴は、オスが出産する(!!!)ということです。
オスのお腹には、カンガルーのような袋:育児嚢(いくじのう)があり、メスからもらった卵をここに入れて育てます。
稚魚レベルまで育ったら、大事に育てた我が子たちを、育児嚢から放出します。これが、「オスが出産する」と言われる所以です。
オスがメスから卵をもらうシーンもロマンチックで、尾を絡ませあったり、体色を変えたりしながら、数時間〜数日ダンスをします。メスの産卵管をオスの育児嚢に挿入して、卵を入れたら、「産卵」完了です。産卵の瞬間のオスとメスが向かい合って姿は、まるでハートマーク!
産卵が終わってからも、夫婦一緒に生活する一夫一妻制です。
○オスとメスを見分けてみよう!
最初に、全身がゴツゴツの硬い甲板で覆われている、と言いましたが、オスの育児嚢だけは滑らかです。
オスとメスの違いは、
・オスはお腹の下に育児嚢があり、お腹から尾まで緩やかなカーブを描く。
・メスは育児嚢がなく、お腹の下がキュッと細くなっていて、尻びれがはっきり見える。
それでは!実際にDQXでオス・メスを見分けてみましょう!!
……こ、これは……。
……作り込みが甘いですね。
お腹の下がキュッと細くなっていないし、尻びれが全く見えませんので、メスではないですね。
消去法でオスと考えるしかないですが、肝心の育児嚢が見えません。
育児嚢、見たかったですね。残念…。
○人間との関わり
・特徴的な外見を持つので、観賞用として人気があります。
・交尾の姿がハートに見えること、夫婦一緒に生活すること、オスが育児嚢で子供を守り育てることから、縁結び、夫婦円満、安産の縁起物とされます。干物がお守りとして持ち運ばれることも。
・中国では漢方薬として使われます。腎臓に効き強壮効果がある他、咳止め、疲労回復などに効くそうです。(中国語を自力で訳したので、間違ってたらゴメンナサイ)
・人間による乱獲によりIUCNレッドリストでは危惧II類(絶滅の危険が増大している種)とされています。このため、漢方などで使うものは養殖されるようになりました。
○最後に
辰年ということで話題になることが多いタツノオトシゴ。
ぜひみなさんもイロハ水族館に足を運んでみてください。
イロハ水族館では、今後も増改築、展示の入れ替え、生態解説日誌の投稿、各種企画などを行っていきます。変わらぬご愛顧をお願いいたします。
〜〜お魚好きの方、ぜひお越しください〜〜
イロハ水族館
本館 ジュレ13981うるわし3番地
和風館 同1番地
世界の気候館 同2番地
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