冒険者:「よーし!強くなるぞー!!強くなって名だたる戦士として君臨するのじゃー!がっははは!」
それから数週間後…。
冒険者:「よーし!いよいよ強くなった実感しかない。どんな相手でもかかってこい!オレが蹴散らしてやるのだ!がっはは!」
神様:「ふーむふむ。みて居ったぞ。たくましくなったな冒険者よ。」
冒険者:「は!向かうところ敵なしでございます!」
神様:「よっほほ。そうか。よしよし。次の君の課題はなんじゃな?それを考えるがよい。ほーほーほー。」
冒険者:「うーむ。いまのオレに足りないものがあるというのか。それはなんだ?優しさか?うーん。一晩かけて考えてみよう…。」
明くる日。
冒険者:「よし。考えてもわからん。僧侶になろう!今日から肉体改造はやめだ!これからは精神修養にどっぷり励むのだ!」
それから数日。
冒険者:「末法の世を隅から隅まで慈しみの眼で見つめてやるぞ。世の中は問題ばかりだ。ああ!暗い!ああ!人の傲慢さが目に付く!いけない!邪念が止まらない!」
さらに数週間。
冒険者:「むやみに殺生などするものでない。槍など持たされるとつい昔のクセで振り回してしまう…。なんとむごい性格だ。血の気が多いからいけないのだ。肉食をやめるぞ。人のあら探しを避け、絡まれてもけっして抵抗しないぞ。一度決めたらやりとげるのだ!」
さらに数週間して…。
冒険者:「むーん。よーし。私もすっかり悟りを開くレベルとなった…気がする…。ホイミ!神のパワーを信じようではないか…。しかし敵に遭遇しても逃げるばかりではまったく世の中に貢献してるように思わん。だが相手の無事を祈ろう。祈りの力を突き詰めよう…。戦士だった時代には想像もできなかった自分となったのだ。ホイミ!こんな世界はかつて否定してもいたのだ…。殺伐としていた過去の自分がまるで嘘のようである…。」
神様:「みて居ったぞ。冒険者よ。」
冒険者:「はは!神様!おはずかしいかぎりにございます…。」
神様:「…うむ。…そうか。」
冒険者:「?」
神様:「ではそろそろ新しい職業に就くがよいだろう。」
冒険者:「はは。私めもいま、ちょうどそのことを考えていたのでございます。」
神様:「うむ。今のオヌシならつとまるじゃろう。がんばるがよい。手を引き、背中を押し、応援してやるぞ。」
冒険者:「はは!ありがたきしあわせ!」
神様:「では期待して居るぞ。」
冒険者:「必ずやご期待に添いとうございます!」
冒険者:「そうか…オレらしさか…。なりたいと思っていた自分の姿がなんとなく見えてきたぞ。あの職業ならばこれまでの経験が丁度よくマッチングしていい感じに自己表現の場が広がるかもしれぬ!うおおー!やるぞー!!」
それから数年して…。
ほかの冒険者:「ほら!押して!押す役目の人!なにしてるの!あー!もー!戦力も期待できないし、回復もできない!ほら押してー!時間切れ~!!」
冒険者:「なんとむごい世界だ…新しい世界を探そう…」