レムは知っています。
スバルくんがどんなに先の見えない暗闇の中でも、手を伸ばしてくれる勇気がある人だってことを。
スバルくんに頭をなでられるのが好きです。
手のひらと髪の毛を通して、スバルくんと通じあっている気がするんです。
スバルくんの声が好きです。
言葉一つ聴くたびに、心が温かくなるのを感じるんです。
スバルくんの目が好きです。
普段は鋭いんですけど、誰かに優しくしようとしているとき、柔らかくなるその目が好きです。
スバルくんの指が好きです。
男の子なのに綺麗な指をしていて、でも握るとやっぱり男の子なんだって思わせてくれる、強くて細い指なんです。
スバルくんの歩き方が好きです。
一緒に隣を歩いていると、たまにちゃんとついてきているか確かめるみたいに振り向いてくれる、そんな歩き方が好きです。
スバルくんの寝顔が好きです
赤ん坊みたいに無防備で、まつげなんかちょっと長くて、頬に触れると穏やかになって、いたずらで唇に触れても気づかなくって、すごく胸が痛くなって。
好きです。
スバルくんが自分のことを嫌いだってそう言うのなら、スバルくんのいいところがこんなにあるって、レムが知っていることを知って欲しくなったんです。
スバルくんは自分のことしか知らない。
レムが見ているスバルくんのことを、スバルくんがどれだけ知っているんですか?
だって、、スバルくんはレムの英雄なんです。
あの薄暗い森で、自分のこともわからなった世界で、ただ暴れまわることしか考えられなかったレムを助けに来てくれたこと。
目を覚まして動けないレムを、魔法を使いすぎて疲れきった姉様を、逃がすために囮になって魔獣に立ち向かっていってくれたこと。
勝ち目なんてなくて。
命だって本当に危なくて。
それでも生きのこって。
温かいまま、レムの腕の中に戻ってきてくれたこと。
目覚めて。
微笑んで。
レムが一番欲しかった言葉を。
一番言って欲しかった時に。
一番言って欲しかった人が言ってくれたこと。
ずっと、レムの時間は止まっていたんです。
リゼロ
あの炎の夜に、姉様以外の全てを失ったあの夜から、レムの時間はずっと止まっていたんです。
止まっていた時間を、凍りついていた心を、スバルくんが甘やかに溶かして、優しく動かしてくれたんです。
あの瞬間に、あの朝に、レムがどれだけ救われたのか、レムがどんなに嬉しかったのか、きっとスバルくんにだってわかりません。
だから、レムは信じています。
どんなに辛く苦しいことがあって、スバルくんが負けそうになってしまっても。
世界中の誰もスバルくんを信じなくなって、スバルくん自信も自分のことを信じられなくなったとしても。
レムは信じています。
レムを救ってくれたスバルくんが、本物の英雄なんだって。
レムがいます。
スバルくんが救ってくれたレムが、いまここにいます。
レムがいます。
スバルくんの言葉ならなんだって聞きます。
聞きたいんです。
レムは、スバルくんを、愛しています。
スバルくんが良いんです。
スバルくんじゃなきゃ、嫌なんです。
空っぽで、何もなくて、そんな自分が許せないなら、いまここから初めましょ。
レムの止まっていた時間をスバルくんが動かしてくれたみたいに、スバルくんが止まっていると思っていた時間を、いま動かすんです。
ここからはじめましょう。
1から。
いいえ。
0から。
一人で歩くのが大変なら、レムが支えます。
「荷物を分けあって、お互いに支えながら歩こう」あの朝に、そう言ってくれましたよね。
カッコいいところを見せてくださいスバルくん。