「……」(゜ロ゜;ノ)ノ
(今、店から出て行ったお客さん、憔悴してたけど……)
「あら、いらっしゃ~い♪」
「お姉ちゃん、今出て行ったお客さん、真っ青な顔してたけどどうしたの?」
「守秘義務があるから教えられないわよ。」
(……お客さんの表情見れば、大方想像はつくけどね。)
「あら~? コンシェルジュ辞めちゃったの?」
「やめてないわよ、非番よ、ひ・ば・ん。」
「な~んだ。酒場のマスターみたいな恰好しているから、今度は紹介人にでもなるのかと思ってた。」
「アズランのマイタケ坊やのように、毎日なりたい職業がコロコロ変わったりはしませんよー。」
「アズランのマイタケ坊や? 誰それ。」
「あ、そっか。お姉ちゃんは知らないわよね。エルフの男の子で、毎日毎日訪れる冒険者にこの職業を見せて
欲しいってせがんでくるの。冒険者はその度にちょっと離れたところにある酒場まで行って転職して見せて
あげるのよ。」
「へ~。奇特な冒険者が多いのね。」
「あの子、どういう訳かふくびきけんを持っててね。彼の言う職業を見せたら1枚くれるのよ。」
「ふ~ん。」
「それよりさ、お姉ちゃん聞いたわよ。」
「聞いた? 何を?」
「1日で10億G稼いだって。」
「新サービスが大当たりしてね♪ そのかわり一日中立ちっぱで仕事してるから足がむくんでひどいのよ。」
「ちょっと働き過ぎなんじゃないの?」
「いいのよ。稼げるときに稼がないとっ!」
「でも…。」
「ねぇ、どうして商いっていうか知ってる?」
「ううん。」
「飽きないから商いなの。お金儲けは飽きないのよ。わっかるっかな~。」
「それはいいけど、身体壊さないようにしてよね。」
「もちろんよ。ところで、手紙読んだわよ。」
「ちゃんと届いてたんだ、よかった。」
「一緒に入っていた写真だけど、あなたの隣に写っていたオーガがビョルンて人?」
「そうよ。右に写っていた方は冒険者の方よ。」
「混雑しているようには見えなかったけど?」
「写真を撮るからわざわざフレームアウトしてくださったのよ。」
「そうなんだ。」
「うん。」
「さて、商売させてもらおっかな~♪」
「え? あ、きょ、今日はお姉ちゃんの顔見に来ただけだから、帰るね。」
「新サービス試していきなさいよ~。」
「きょ、今日はいいって。」
(あのお客さんの表情見たら怖くて試せないわよ)^^;
「嘘おっしゃい! あなたからアクセの匂いがプンプンするわよ~。」
「!!」
「試して行くわよね~?」
(私、絶体絶命!!!)
つづく