世界宿屋協会からの突然の辞令があり、グレンからヴェリナードへ異動することになりました。
ビョルン先輩からは姉リーネに挨拶してから勤務に励みなさいと言われましたが、行くとアクセ合成をするまで
帰らせてもらえないような気がして、真っ先にプレーテさんのところへ行きました。
宿屋の扉をあけて挨拶しようとした時でした。
「あら、リーネさん。あなた転職なさったの!?」
「え? あ、いえ。私は…」
「今日から新しくお手伝いに来てくれる見習いさんってリーネさんだったのね」
「あぁ、いやいや、私うぃすたりあと申します」
「え? リーネさんじゃないの!!?」
「はい、私…その、リーネの妹でして…。今日からこちらでお世話になります。何卒、宜しくお願い致します」
「リーネさんにそっくりだったものだから、おほほほほ…」
「よく言われます^^;」
「私はヴェリナード城下町の旅の案内人、プレーテです。よろしくお願いしますね」
「はい! プレーテ先輩」
「プレーテ先輩という呼び方は感心しませんね」
「はい?」
「お姉さまとお呼びなさい」
「お姉…さま?」
「そうです。ここでは私の事はお姉さまと呼ぶのです。よいですね?」
「え…あ、はい、プレーテせ…あ、いや。プレーテお姉さま」
「よろしい。では、ここでの仕事の流れを説明しましょう」
「よろしくお願いします!」
「紙とペンを用意して逐一メモなさい」
「はい!
「あら? あなた。グローブはどうなさったの?」
「あ! 申し訳ありません」
「この制服は旅のコンシェルジュの証です! 何一つ欠けてもいけません! すぐに用意してらっしゃい!!」
「それが…、グレンから郵便で送った荷物の中に…」
「……」
「も、申し訳ございません。荷物が届き次第身に着けますので何卒、何卒…」
「……それならば、仕方ありませんわね。では、それまでの間はいいでしょう」
グレンとは違った別の緊張感がありそうです…。
リーネお姉ちゃんのところはしばらく行かないことにします。
つづく