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蒼鎧両断の緑の者

アル

[アル]

キャラID
: CS433-198
種 族
: ドワーフ
性 別
: 女
職 業
: 旅芸人
レベル
: 140

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写真コンテスト

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アルの冒険日誌

2026-03-29 01:24:02.0 2026-03-30 06:39:23.0テーマ:写真活動

水だけが応える店

夜は、水の音に似ている。



静かな路地の奥に、そのBARはあった。

看板は小さく、光も控えめ。

扉を開けると、

そこには“海のかけら”が並んでいる。



壁一面の水槽。



青く、ゆっくりと呼吸する光。



カウンターに、カッパはちょこんと座っていた。



頭のお皿は、今日は少しだけ水をたたえている。

どうやら機嫌は悪くないらしい。




「きゅうり、ありますか」





バーテンダーは微笑んで、小皿を差し出した。
薄く切られたきゅうりは、氷の上で小さく鳴る。



カッパはそれをひとつつまんで、



しゃく、と音を立てた。



その音は、水槽の中のクラゲとよく似ていた。




ゆらり。 ふわり。




透明な傘が、光を飲み込んでは吐き出す。
まるで、言葉にならなかった気持ちみたいに。



「……ねえ」



カッパは、誰にともなくつぶやく。



「水の中って、静かでいいね」



返事はない。



けれど、水はちゃんと聞いている。



泡がひとつ、ゆっくり上がっていった。
カッパはグラスを傾ける。 中身はただの水。
けれどこの場所では、それが一番似合う。



グラスの向こうに、魚が一匹横切った。
一瞬だけ、目が合った気がした。




「きみも、なにか忘れてきたの?」




魚は答えない。
ただ、尾ひれで夜をかき混ぜる。



カッパは少しだけ笑う。



忘れたことすら、もう思い出せないような顔で。




また、きゅうりをひとつ。



しゃく。



その音が、やけに遠くまで響いた気がした。



やがて、BARの灯りが少しだけ落ちる。



閉店の合図。



それでも水槽は消えない。
夜の底で、ずっと光っている。




カッパは席を立つ。



お皿の水を、そっと整えて。



扉を開ける前に、振り返る。



「また来るね」



それは約束というより、 水面に落とした小石みたいな言葉だった。


波紋は広がるけれど、やがて消える。
消えたあとも、水はそこにある。




外に出ると、夜は少しだけ深くなっていた。



カッパは歩き出す。 
どこへ向かうでもなく、ただ静かな方へ。




さっき見たクラゲの光が、 
まだ、目の奥でゆれている。



まるで、 忘れたはずの何かが、




ゆっくりと、 泳ぎ出そうとしているみたいに。
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