むかしむかし胸のところにこぶが二つあるおじさんが住んでいました。
それはとても邪魔なこぶで、おじさんがまきを割る度にプルルン、プルルンとふるえます。
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でもこのおじさんは、そんな事はちっとも気にしない、とてものんきなおじいさんでした。
「やーいこぶとりこぶとり」
と子供たちがからかっても
「はっはっは。こんなこともできるぞ」
と胸を揺らし逆に子供たちを笑わせるのでした
村にはもう一人胸にこぶのついたおじさんがいました
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おじさんはこぶが気になって気になって、いつもイライラ
「やーいこぶとりこぶとり」
と子供たちがからかうと
「やせてるわーー!」ボコッ
と鉄拳で厳しい現実を教え込みます
とある日、のんびりしたおじいさんが森でまきを割っていると
ピーヒャラドンドン、ピーヒャラドンドン
楽しそうな音が聞こえます。
お祭りのお囃子みたいです。
ヒョイとのぞくと鬼たちがお祭り騒ぎ
最初は怖がっていたおじいさんも、そのうちに怖さを忘れて踊り出してしまいました。
「これは、うまい踊りじゃ」
「おおっ、人間にしてはたいしたものじゃ」
おじいさんの踊りがあまりにも上手なので、鬼たちもおじいさんと一緒になって踊り始めました。
のんきなおじいさんと陽気な鬼たちは、時が経つのも忘れて踊り続けました。
そのうちに、東の空が明るくなってきました。
「いやーたのしかった。おい、じいさんよ。今夜も、踊りに来いよ。
それまでこのこぶを、預かっておくからな。今夜来たら、返してやろう。」
そう言って鬼の親分は、おじいさんのこぶをもぎ取ってしまいました。
こぶを取られたおじいさんは、思わず胸をなでました。
こぶをとられたこぶなしの小太りじいさん「おおっ、こぶがない」
村に帰るとイライラしたおじさんが言います
「コブ!」
のんびりしたおじさんがすべてを話すと
「鬼がコブを取ってくれたんか!こぶとりの鬼が!?」
自分も取ってもらおうと今夜はイラおじが行くことに
ピーヒャラドンドン、ピーヒャラドンドン
楽しそうな音が聞こえます。
おじいさんは踊っている鬼たちのところへ行こうとしましたが、でも鬼の怖い顔を見た途端、足が震えて歩けなくなりました。
「ええい!コブのためだ!」
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でも、鬼が怖くてぶるぶる震えているおじいさんに、楽しい踊りが踊れるはずはありません。
「何だ、あの踊りは?!」
おじいさんの下手な踊りに、鬼たちはだんだん機嫌が悪くなって来ました。そして怒った鬼の親分が、おじいさんに言いました。
「ええい、下手くそ! 約束通りにこれを返してやるから、二度と来るな!」
とコブを返されてしまいました
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胸のこぶが大きくなっちゃったーーー!!
FAT END?
NO
PAD END