【今回も茶番日記です。】
彼女に出会ったのは、父の四十を祝うパーティでだった。
父の古い友人の娘らしく、父親とともに挨拶に来たらしい。
【父の友人】
「この子がダリアです。
ほれ、お前からも挨拶なさい。」
【ダリア】
「クルツ家長女、ダリアと申します。
40歳の誕生日おめでとうございます。
素敵なパーティにお招き頂いて、とても光栄です。」
挨拶を終え、こちらを見て微笑む彼女。
その表情はとてもかわいくて、
僕は直視できなくなって目をそらしてしまう…
しばらくして、貴族たちのあいさつ回りが終わる。
パーティがひと段落付くと、父から重大発表があるとの事。
【父】
「この場を借りて私から一つ発表させて頂きます。
ここにいるクルツとは古い中で、
以前からお互いの子がつがいとなる約束を交わしておりました。
いわゆる、許嫁というものです。」
ん?え?
【父】
「この度、クルツ家のダリア嬢と我が息子が正式に婚約した事を、
この場を借りて発表させて頂きます。」
えぇぇぇぇぇえええ!?
僕の驚嘆などかき消すように、
盛大な拍手がパーティ会場を包みこむ。
パーティが終わり、僕は父に詰め寄る。
『どういう事!そんな話聞いてないよ!?』
【父】
「そう言うな、前々から向こうと話していたのだ。
それに事前にお前に伝えても、
逃げる口実を作って断るに決まっておろう?」
ぐぬ!図星だ…
【父】
「あの場で言えば、もう逃げる事も出来まい。
観念して、めとればいいのだ。」
はっはっはっ!と笑う父にここまで苛立ちを覚えたのは初めてだ…
後日、彼女が我が家に来た。
家臣たちの評判も良く、誰とも気兼ねなく接しているようだ。
毎晩、彼女は月明かりの下、祈りを捧げていた。
その様子を扉の陰から、見守る。
決してのぞきじゃないからな!?
コン!あっ。
誤って扉の角に足をぶつけて音を出してしまう。
彼女と目が合う…。
【ダリア】
「どうかなさいましたか?」
『いや、毎晩祈ってたから、不安なのかな?って思って…』
【ダリア】
「ふふふ、お祈りはただの習慣です。
ただ、不安じゃないといえばウソになりますね。
家族と離れ、知らないお屋敷へ来て、知らない方達に囲まれて、
不安なことも多いです。それに貴方にも、
その…嫌われてるんじゃないかって…」
『え?僕が…?』
【ダリア】
「初めて会ったあの日、目を逸らされてましたよね?
それに、こちらに来てからも私を避けておられるようですし…」
確かに思い当たる節はある…
彼女といるのが気まずくて、つい避けていたのかも。
【ダリア】
「急に私のような者が来て。疎ましく思われているのではと…」
『そんなことはない!その…一緒にいるとちょっと気恥ずかしくなる
というか!疎ましいとかじゃ全然なくて、その…』
だめだ!こんな言葉じゃない!
僕が言いたいのは、そんな言葉じゃない。
『あぁ!もう!』
僕は彼女の手を両手に取ると彼女の眼を見つめて。
『かわいくて!綺麗で!ステキで!
好きで好きで、辛くなるんです!
こんな僕でいいのかとさえ思います!
一緒にいて嫌われたらって不安になるんです!
だから距離をとって、ずっと様子を見てて…』
あ…
途中から、余計な事を口走ってる事に気づく。
【ダリア】
「クスッ
だから毎晩、扉の後ろから覗いてらしたのですね?^^」
しかも気づかれてた!?
彼女は僕の手を、両手でいのるように握り返す。
【ダリア】
「お互いに不安な思いを抱えていたのですね。
ご安心ください。私の思いが変わることはありませんわ。」
暖かい彼女の手と言葉。
『僕も、君が好きなこの気持ちが変わる事はないよ。
君が安心できるように、僕が守っていくよ。』
月明かりの下で、自然と誓い合う二人…
【ダリア】
「…改めて言うと、ちょっと恥ずかしいですね。」
『…君がそれ言うの!?』
二人に笑いがこぼれる。
【ダリア】
「ところで、その…なさったりとかはしないのですか?」
『?…なさる?…なにを?』
【ダリア】
「父と父君から、貴方の[夜の相手も務めるように]と言われていて、
えっと、毎晩扉の外まで来られていたようなので、
その…いつお声がかかるかと…」
『…うん。とりあえず明日、父を殴っておくよ。』
【父】
「はっはっはっ!孫の顔が早く見たいものだ!」
…という話なんだけどどう?
【ダリアクルツ】
「…却下です。私は綺麗な服よりカッコいい服が着たいのです><
こんなフリフリ似合わないです>△<」
コイツ…いつも黒い鎧着てるせいか、
最近、綺麗系カワイイ系拒絶しやがる…
ここまで読んでくれてありがとう^^
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