400話記念のショートストーリー3部作。前編です。
ドルワーム王国。多数の"賢者"を排出する王立研究院を擁する、学問の都。
人々の生活を潤す『技術』そして『知識』。
賢者たちによる日々の研究は、アストルティアの文化を進化させ続ける。
技術の粋を集めた、煌びやかな水晶宮。
栄華を支えるのは、どの時代でも多くの現場の技術者たちだ。
ここはドルワーム水晶宮の一室、王立研究院。
先の例に漏れず、技術者たちがその知識を磨く、『知の訓練場』である。
だが、そこに響くのは、『 技術者達の鍛錬の熱意 』とは異なる、少し柔らかい声と、
楽しげな笑い声だった。
<ディードの日誌 間違い作り レベル3> (まずはこちらをご覧下さい)
http://hiroba.dqx.jp/sc/diary/640243917900/view/2274910/
(*'ω'*) 『 ねーねー、ディード、ここが間違ってるんじゃないの? 』
( ╹◡╹) 「 あ、すっごい。アーニア、良く判ったねー。けどあと3箇所、間違いがあるんだよ 」
(*'ω'*) 『 えっ!? うーん、どこだろー… うーんうーん… 』
( ^◡^) 「 うふふw 判ったらすごいかもーw 」
賢者の正式衣装に身をまとった、少しあどけない表情を見せるドワーフの少女が、新米賢者のアーニア。
その隣で、身長はアーニアのゆうに倍はあろうか。
少しいたずらっぽい、少女のような笑顔を見せるのが、ディード。
彼女達は二つの写真を見て、笑い合っている。
誰しも子供の頃、興じた遊び。間違い探し。
二つの絵を見比べて、その違いを見つけ出す遊び。
二人はこの遊びに夢中のようだった。
(*'ω'*) 『 けど、ディードが見つけてくる間違い探し写真、いつ見ても凄いよねー 』
( ╹◡╹) 「 あたしこーゆーの作るの、大好きなの♪ 戦いは全然なんだけどねw 」
少し照れながら話すディード。
どうやら彼女が、この間違い探しの出題者の様だ。
(*'ω'*) 『 ディードは、こんな問題をいつも自分で作るの? 』
( ╹◡╹) 「 ううん。問題を考えるのは好きだけど、写真を撮ったりするのは一人じゃ大変でしょ? 』
(*'ω'*) 『 うんうん 』
( ╹◡╹) 「 だからね、あたし弱いから。いろんな冒険者さんのお話を聞いたりして。写真をもらったりして。
そこから問題を作ったりしているの 」
(*'ω'*) 『 すごいねー。勉強しかしていないあたしからすると、全然思いつかないもの。 』
( ^◡^) 「 単にこーゆーのが好きなだけなの。 お勉強はからっきしだけどw 」
二人の楽しい声を聞きつけて、王立研究院の院長、ティーザが部屋を覗きこむ。
『 なんだ、アーニア。休憩時間といえど、あまり騒ぎすぎてはいかんぞ…ん? 』
『 ふむ。間違い探しか。なつかしいの。私もよくやったものだ。 』
まじめな院長の意外な言葉に、アーニアは目を丸くする。
『 そんな意外そうな顔するでないw 』
『 この間違い探しというのはな。賢者として必要な"資質"を磨く為の、訓練の一つにもなるのだよ 』
『 アーニア。ここで問題だ。間違い探しから得られる賢者の"資質"。それは何か判るかな? 』
アーニアは目を丸くし、眉をひそめる。
ディードは、何かを感じ取ったようだ。
( ╹◡╹) 「 洞察力、でしょうか? 」
ティーザは少し驚く。このこ、なかなかするどいのぉ、と。
『 間違い探し。それは絵のほんの少しの違い。文章のわずかな矛盾。知の隙を探す遊びだ 』
『 知の隙を見つけること。それが世の中の知を得ることそのものに繋がるのだよ 』
思わぬ形の授業になったようだ。アーニアは熱心にメモを取っている。
その姿を見たティーザは、少し表情を緩める。
『 まぁ、今は休憩時間だ。どれ、私もその遊びに参加させてもらおうかの 』
ティーザは、二人の隣に座る。
その時、けたたましく扉が開き、一人の女性が険しい表情で飛び込んできた。
『 ちょっと!どうなってるのよ! 』
~To be continued~