『ザラさんに報告を頼まれております』
冒険中、不意に声をかけられる。
声の主は、春舞(ハルブ)さん。蒼の語りべにして、
レアな転生プクリポだ。
誰に何の伝言を頼まれたのか、おれには心当たりがあった。
ザラ 『おお、もしかして、ふーたさんからですか?』
少し前、おれは、冒険日誌に、
『 聖王の武具、1つくらいはハンドメイドしちゃるけぇのぉ! 』
的なことを書いたと思う。
その日誌の、
奇跡のハンマー☆☆☆も購入せねば、という一文を見て、
それなら、良ければ自分が作った時に譲ろうか、
と、コメントをくれていたのが、ふーたさんであった。
ふーたさんとは以前、
とある災厄の王討伐の時にご一緒して以来、
日誌でちょくちょく交流はしていたが、
実は今まで、盟友の誓いは果たしてはいなかった。
実はおれは、自分からこういう申請をするのは、割と苦手なのだ;
ふーたさんもそういう性質(タチ)なのですよ、と、
春さんは笑った。
というわけで、二人の共通の友人である春さんが、
仲介役になってくれたというわけだ。
どうせなら、本人から直接受け取ってくれ、
との、春さんのはからいあって、
レンダーシアのとある村にて、ふーたさんと会う機会が設けられた。
そこで、挨拶がてらちょっとしゃべった後に、
【奇跡のハンマー小☆☆☆】を、確かに受け取る。
お代はメンドいから、メタスラで良いよ、と笑うふーたさんだったが、
こちらはバザー値で買い取るつもり満々でやってきていたので、
我々は春さん曰く、
【わけわからない問答】
をしばらく続けたのち、
双方歩み寄りるカタチで取引を成立させた。
そして今度こそ、ふーたさんに盟友になっていただいた。
・・・お二方と別れたあと、
ハンマーをかざし、頼もしく見つめる。
これから未知の鍛冶をするのに、
旧知の人の作った鍛冶道具が、どれほど心強いことか。
(゜ロ)< おれも頑張ってみるか・・・!
ザラ 『よし、聖王のツメ、打つぞ!』
コウタさん 『ウテ!』
ムスビさん 『がんばれ!!』
頭の中でシミュレートを重ねながら、
慎重に慎重を重ねて鍛冶をする。
1つの武器を作るのに、これだけの時間を費やすのは初めてのことだ。
2カ所が会心で成功ラインに入り、
そのほかの部位も、はみ出したりはしていない。
良い手応えだー・・・!
結果は、☆☆。
実のところ、聖王のツメの相場はぶっこわれ気味で、
35万ほどの原価で作っても、
☆☆では、バザー値は10万Gそこそこにしかならない。
2、3品以内に☆☆☆を打てるという、絶対的な自信とウデがなければ、
本来手を出すべき品ではないのだろう。
しかしー・・・後悔はない。
おれにしては上出来だともw
なにより、この鍛冶を通して、
お金では得られないものを得ることができた。
割に合わない仕事も、悪いことばかりじゃあないもんだw
ほむさんに練金をお願いし、
今回も、上級2連成功という、素晴らしいものを付けていただいた。
攻撃力は、冥獣の+3に匹敵するくらいにはなったろうか。
強敵相手の使用にも、十分耐えうる代物のはずだ。
(゜ロ)< よぉぉし、このツメで大暴れといきま・・・!
聖王のツメ装備レベル:75
ザラ 武闘家 LV:67
盗賊 LV:59
まものつかいLV:61
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(゜~゜;)
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ザラ 『・・・ ・・・ ・・・』
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マロニー 『・・・ ・・・ ・・・』
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ザラターン聖王のツメ制作篇
Σ 完
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